掲載日 : [2018-07-25] 照会数 : 6860
関東大震災95年・虐殺の実相に迫る…高麗博物館企画展「記憶・記録・報道」
[ パネル写真を通じて史実と向きあう来訪者たち ]
目撃者の絵図中心…パネルと図書50点
関東大震災から今年で95年を迎えるのを前に「描かれた朝鮮人虐殺と社会的弱者‐記憶・記録・報道」と題した企画展が東京・新宿の歴史博物館「高麗博物館」で始まった。展示は震災を体験し、加害行為を直接、目撃した人たちによる絵図が中心。虐殺の実相に正面から向き合い、当時の日本人の朝鮮観や朝鮮認識、差別意識などをあぶりだしている。
水彩画「関東大震災朝鮮人虐殺スケッチ」(国立歴史民俗博物館所蔵、縦21・9×横37・3㌢)は、河川敷で行われた残虐行為を「生中継」した。日本刀を手に切りかかる自警団や銃剣を突き付ける軍隊、柵を乗り越えいままさに虐殺に加わろうとする群衆の姿も。傍らに転がる5人の死体が無残。河目悌二(挿絵画家、当時34歳)が描いたとされる。河目は「この現実から目をそらしてはいけない。作者も含めてこの絵に登場するすべてに責任はあるだろう」と書き記している。
大震災は子供たちにも「最も怖かった思い出」として記憶されていた。「芋畑に逃げ込む朝鮮人」(東京都慰霊堂保管)は、大勢の軍人や警官、民間人が芋畑に逃げ込む被害者を追い詰め、捕縛しようとする一瞬を描いた。当時、本横小学校(墨田区)4年だった山崎厳の作品だ。
震災後、子どもたちの間で「地震ごっこ」「火事ごっこ」と併せて、民族的な偏見や差別をあおるような「鮮人ごっこ」「夜警ごっこ」が流行ったというのも当時の大人社会のありようを反映したもの。東京市の調査によれば「鮮人ごっこ」は小学校1、2年生で4番目、3、4年生で6番目、5、6年生で5番目といずれも高い人気。
展示物は新旧パネルと関連図書など約50点。12月2日(月・火曜日休館、12~17時)まで。入館料400円(中高校生200円)。新宿区大久保1の12の1 第2韓国広場ビル7階、TEL03・5272・3510。
(2018.07.25 民団新聞)