掲載日 : [2019-06-12] 照会数 : 6302
関東大震災の'惨劇を五感で追体験…東京 軍隊による加害現場
[ 童画家・河目悌二の作品とされるスケッチを示して永代橋での虐殺について語る西崎雅夫さん ]
1923年の関東大震災から96年。公的資料に記載された当時の軍隊による虐殺地を中心に訪ねる市民団体主催のフィールドワークが1日、東京都内であった。在日同胞を含む約40人が参加した。
出発地は東京のはずれにある今井橋。江戸川区と千葉県市川市を結ぶ旧江戸川にかかる。9月2日から4日にかけて千葉県習志野から出動した騎兵第15連隊が少なくとも3件8人の同胞を殺害した現場だ。
資料では千葉県南行徳村が現場だが、実は東京都内だった。「騒ぎ立てたため、極めて危険だった」という軍側の記録も事実に反する。実は後ろ手に縛っての一方的な虐殺だったことが民間の証言で裏付けられている。
この日の案内と解説を務めた西崎雅夫さん(一般社団法人ほうせんか理事)は「軍隊は平気でうそをつく。軍の記録ではわからないことが民間の証言で裏付けられた。おそらく自ら目撃した事実を記録せざるを得なかったのだろう」と語った。
江東区大島8丁目、東大島文化センターが建っている場所は「集団虐殺の現場」となったところ。ここで死体を焼いて処分したのだ。公的記録によれば犠牲者は200人。民間証言によれば300人以上といわれている。この中には中国人も多く含まれていた。
一行は最後に永代橋にたどり着いた。ここでは32人を連行し、川に飛び込んだ17人を実弾17発で殺したとされる。実際は処刑したようだ。残りは殴り殺されたという。童画家・河目悌二が自ら目撃して現場をスケッチしている。参加者は隅田川を前に全員で追悼の「アリラン」を斉唱した。
(2019.06.12 民団新聞)