掲載日 : [2019-05-29] 照会数 : 7046
「選挙ヘイト」根絶迫る…参院法務委 有田芳生議員が質問
[ 有田芳生参議院議員 ]
統一地方選挙で極右の排外主義団体が各地で立候補者を擁立し、「選挙運動」に名を借りた不当な差別的言動を繰り返してきた。こうした「選挙ヘイト」根絶には何が求められているのか。「ヘイトスピーチ対策法(解消法)」成立から3年を迎え、有田芳生議員が21日、参議院法務委員会で質問した。
有田議員は現状を把握するためとして、極右政治団体の日本第一党(桜井誠党首)が各地の選挙運動の場で言い放ったヘイトスピーチを読みあげた。
「日本第一党は戦闘的な愛国党です」「日本第一党を国会で多数派にして、国家の敵を物理的に日本から消滅させましょう」「選挙権のない朝鮮人は日本から出て行け」
同団体は移民・外国人政策で「外国人参政権、断固反対」、「外国人に対する生活保護の廃止」、「地方公務員国籍条項の見直し」などを掲げている。
選挙活動でも「違法は違法」
法務省人権擁護局の菊池浩局長によれば、選挙運動期間中の「不当な差別的言動」の可能性については、統一地方選挙を前に地方公共団体などからも指摘を受けていたという。
これを受けて同局は調査救済課補佐官の名前で3月12日、「たとえ選挙活動でも違法なものは違法」とする趣旨の事務連絡を全国の法務局や警察庁、総務省などに発していた。
これを受けて警察庁は3月28日、各都道府県警に業務連絡を行い、「不当な差別的言動は、たとえ選挙運動として行ったものでも、刑事事件として取り上げるものがあれば法と証拠に基づいて適切に対処する」ことを確認した。
田中俊恵警察庁官房審議官は「これは刑事部に限らず、選挙違反の取り締まりをやっている警察本部の全部署に対しても周知徹底を図った」と強調した。
啓発資料の配布
総務省も認める
一方、総務省は業務連絡をどのように受け止めたのか。有田議員の質問に吉川浩民官房審議官はあくまで「参考」との立場だ。「候補者などに対してヘイトスピーチの解消に係る啓発を行うことは慎重に対応する必要があると考える。格段の対応は致しておりません」
有田議員が「たとえ選挙の候補者の説明会においても、法務省『ヘイトスピーチ、許さない』といったポスターや説明文、パンフレットなどの啓発資料が配られてもおかしくない」と迫ると、「選挙の結果に影響を与える恐れや候補者の政見などについての介入干渉にあたる恐れがないなど、選挙の自由公正が阻害されない限り」との条件付きながら受け入れるとの考えを示した。
(2019.05.29 民団新聞)