掲載日 : [2019-06-12] 照会数 : 7044
神戸市が反差別条例...来春に施行へ
議会の主導 全会一致で可決
【兵庫】神戸市議会は5日、「神戸市外国人に対する差別の解消と多文化共生社会の実現に関する条例案」を全会一致で可決した。施行は来春。公明、共産、こうべ市民連合、新社会の4会派など36人による議員提案だった。ヘイト行為を抑止するための議会主導による条例は全国初とされる。
条例は外国人に対する不当な差別的言動にとどまらず「あらゆる差別」を対象としている。そのうえで市に相談体制の拡充と異なる生活習慣や文化の違いを理解し、尊重する多文化共生教育、および人権啓発を求めた。
神戸は1868年の開港以来、世界に開かれた都市としてアジアを中心とする諸外国から来訪してきた人々が共に街をつくり、独自の多文化共生の生活文化を生み出してきた。こうした社会風土からして、議案の提出は必然だったようだ。
条例制定への動きは、民団兵庫本部(車得龍団長、当時)が14年、公明党兵庫本部にヘイトスピーチの禁止法の制定や地方議会での意見書採択などの政策要望を行ったのが始まり。政策要望を受けた赤羽かずよし代表(当時)は「ヘイトスピーチは国際社会との共生にそぐわない。健全な日本社会を育てるのは公明党の使命だ」と応じた。
法務省の調査によれば、県内でのヘイトスピーチは12年から15年9月にかけて41件を数えた。これに対する神戸市の対応は情報取集や啓発活動にとどまり、独自の条例案の検討には「必要性は見いだせない」というものだった。民団兵庫本部の金相英事務局長は「議員同士で議論を積み重ねて、対策法を実行するための条例を作ってほしい」と呼びかけてきた。
「多文化共生社会へ一歩」民団兵庫歓迎談話
「ヘイトスピーチ対策法(解消法)」施行の直後から、神戸市会へ条例制定要望活動を継続して行ってきた結果、この度、条例が可決されたことを評価したい。
理念条例ではあるが、「不当な差別を許さない」という意思を、神戸市会全会一致で可決したことの意義は大きい。今回の条例は今後、神戸市における多文化共生社会づくりにとって大きな一歩となるはずだ。
一方、神戸市にとどまらず、兵庫県下の他市町にも、条例制定を含めた「差別を許さない」制度と環境づくりを、民団兵庫としてこれからも推し進めていきたい。
(2019.06.12 民団新聞)