掲載日 : [2018-08-08] 照会数 : 5958
大阪と宮城で人権講座…「白書」教材に闘いの歴史学ぶ
[ 大阪民団大ホールで開かれた人権講座 ]
民団中央本部人権擁護委員会(李根茁委員長)が企画制作し、今年2月に発刊された『在日コリアンの人権白書』を教材とした執筆者による連続講座が7月、大阪と宮城で開催された。
【大阪】民団大阪本部(呉龍浩団長)は29日、本部5階大ホールに120人の参加者が集まる中で開催。全4講義のうち前半の2講義が行われた。
呉団長は開会辞で近年韓国人以外の在留外国人が増加していることに言及し、「在日外国人の先輩である私たちが良い意味で彼らをリードして行こう。そのためにもこうした場を活用して人権について一緒に学ぼう」と参加者にアピールした。
講義は最初に殷勇基弁護士が「在日コリアンの人権‐法的地位と国籍」を主題に日本が主権を回復した1952年4月のサンフランシスコ平和条約の発効と同時に在日コリアンの日本国籍と参政権を一方的に剥奪したことを解説。先進国の人権状況を示す最新の移民統合政策指数で日本が最下位であることを示し、日本政府の人権に対する問題意識は、70年後の今も進歩が無いと指摘した。
続いて張界満弁護士が「過去の差別実態と民団の権益擁護運動」をテーマに阪神教育闘争、日立就職差別事件、故金敬得弁護士が外国人司法修習生を勝ち取った闘い、東京都管理職国籍条項訴訟などについて講義した。
東京新宿支部の議長でもある張弁護士は公営住宅入居、児童手当支給、国民年金など200以上と言われた行政差別の撤廃は70~80年代にかけての民団権益擁護運動の賜物であると評価した。
後半の2講義は11月17日に開催される予定。
宮城本部は第2回講座
【宮城】民団宮城本部(金政郁団長)は12日の第1回に続く第2回講座を30日、本部6階ホールに70人を集めて開催した。
全体で3本目の講義となる崔聖植行政書士の題目は「外国人登録法改正運動と新しい在留管理制度」について。
外登法では自身が父の故崔昌華さん、妹の崔善愛さんらとともに家族で指紋押捺拒否した当事者であることから、講師と言うよりも語り部的に話を展開。善愛さんは再入国不許可のまま米国留学を決行したが、2000年に指紋押捺制度が廃止されたことに伴い特別永住を取り戻した経緯を話した。
最後に中央本部の孫成吉生活局長が「地方参政権獲得運動と歴史教科書問題」に関する講義を行った。
スタートから24年目となった今、運動の再構築のためにも改めて在日コリアンが地方参政権を求めることの意義と当然の権利について知ってほしいと強調した。
閉会の講評で金東暎監察委員長は、「日本の人たちに正しく理解してもらうためにも、私たち自身が自らの人権について今後ともきちんと学んでいこう」と結んだ。
(2018.08.08 民団新聞)