掲載日 : [2019-03-21] 照会数 : 6323
東京都弁護士会 会長声明「迷惑要件は不要」
都人権条例に注文
東京都は「いかなる種類の差別も許されない」とした人権条例に書かれる公の施設の利用を制限する基準として「人種差別要件」といわゆる「迷惑要件」の2つを方針として示した。これに対して、東京都弁護士会(安井規雄会長)は「迷惑要件」は不要とする会長声明を4日、発表した。
都が1月10日に示した利用制限の要件案は①ヘイトスピーチが行われる蓋然性が高いこと②ヘイトスピーチが行わることに起因して発生する紛争等により、施設の安全な管理に支障が生じる事態が予測されることの2点。「表現の自由」に留意しながら、この2つの要件をともに満たした場合に利用制限を行うことができるとした。
しかし、会長声明では②の要件は不要とした。なぜなら、同様のガイドラインを設けた川崎市では確信的に差別扇動を繰り返す者による集会申請にも施設の利用を許可せざるを得ず、結果的に骨抜きになっている。もとより自治体は不相当な利用目的による公の施設の利用申請を拒否できること。人種差別撤廃条約や「ヘイトスピーチ対策法(解消法)」の要請にも合致しないとした。
都の人権条例は昨年10月に成立したが、制限基準が条例に書かれていなかった。4月1日から全面施行される。