掲載日 : [2019-03-20] 照会数 : 8902
在日3世制作「一陽来復」韓国で上映始まる
[ 韓国での公開を知らせる「春は来る」ポスター ]
タイトル「春は来る」…東日本大震災 被災地で生きる人たちを描写
東日本大震災から8年が経過した東北の地を舞台に、けなげに明るく生きようとする人々の姿を追ったドキュメンタリー映画「一陽来復」(81分)が14日から韓国で劇場公開されている。監督は在日3世の尹美亜さん(45)。これが初の監督作品ながら映文連アワード2017「準グランプリ」を受賞、文部科学省特別選定(青年向き・成人向き)も受けた。
①3人の子どもを津波で失いながら被災者仲間のために緩やかなボランティア組織を運営している夫妻(宮城県石巻市)
②津波で犠牲になった父親を忘れられない5歳のそろばん大好き少女(宮城県南三陸町)
③全村避難指示の出た原発30㌔圏内で田んぼを作り続ける一家(福島県川内村)
④大津波に襲われ、神輿や道具、衣装も流されながら神社に集まる大勢の人たち(岩手県釜石市)。
みな、喪失感や葛藤を抱えている。それでも悲しみを内に隠し、復興に向けて新しい一歩を踏み出そうとしている。そうした一人ひとりの決意を自然豊かな風景とともに映し出す。韓国語版のタイトルは「春は来る」とした。海外での劇場公開は韓国が初めて。
尹さんは東日本大震災で生じた放射能汚染への批判が根強い韓国で上映が実現したことを「画期的」と喜んでいる。上映はトータルで20館になる見込み。
「等身大の東北を見て」…尹美亜監督
私は日本で生まれ育ち韓国語も話せないのですが、やはり韓国に対しては特別な思い入れがあるため、韓国での公開は単純にうれしいです。私が大好きな東北の出演者の皆の姿がスクリーンに映っている。それだけでも感慨深かった。自然と涙があふれてきました。
韓国では福島の原発事故に対する恐怖と怒りがいまだに強く、「日本政府の出す情報や数値は信じられない」という人が多くいました。日本の「日韓関係最悪」と韓国の「福島=放射線=危ない」は同じ現象のような気がしました。
それは報道に問題があったり、政治利用されたり、反日や反韓団体に利用されたりした結果なのだと思います。韓国の方に東北や日本をうそ偽りないありのままの姿で見てもらうことは非常に重要だと思います。
(2019.03.20 民団新聞)