掲載日 : [2018-06-13] 照会数 : 5912
金勝子さんが初個展…5人の子育て終え夢果たす
[ 念願の個展を喜ぶ金勝子さん ] [ 孫を描いた作品 ]
在日2世の金勝子さん(78)は先月29日、東京・新宿区の趙善玉料理研究院で、初めて油絵の個展を開いた。作品は人物画を中心にした16点。「あっ立った!」「頭、コツンしたの!」などの可愛らしいタイトルが並ぶ。
モデルは孫やその母、そして自身の子どもの幼い頃の姿などを描いている。特に孫の絵は、金さんの深い愛情が感じられる優しい表情が印象的だ。作品は1年に1枚のペースで描き上げる。
金さんは宮城県生まれ。埼玉の熊谷女子高校2年の時に、友だちの油絵の作品を見て絵画にめざめた。美術部の教師からは美術大学に進学するよう勧められるも、父親の「女に学問は必要ないからとにかくお嫁に行きなさい」との一言で断念。21歳のときに見合い結婚した。
金さんは夫とは別に化粧品の販売をやりながら生活を支えた。46歳のとき、夫を52歳で亡くした。「息子4人、娘1人を独りで育てるときも皆さんが協力してくれたし苦にならなかった」と当時を振り返った。
本格的に絵を始めたのは60代になってから。カルチャーセンターで腕を磨いた。「最初は民団の婦人会の作品展に出品するために描き始めた」
個展を開くのが長年の夢だった。集中すると丸一日描くこともある。「絵を描くことは自分の世界に入り込める貴重な時間。楽しんでいるわね」と笑顔を見せた。
(2018.06.13 民団新聞)