掲載日 : [2019-07-10] 照会数 : 7059
時のかがみ「夏本番!釜山の海へ」桃井のりこ(編集者・プロデューサー)
[ 海雲台海水浴場(鈴木圭撮影) ] [ 1930年代の松島海水浴場(釜山広域市西区庁提供) ]
ビーチリゾート数多く
100年超す海水浴場も
釜山の海といえば釜山港のイメージが強いが、日本から一番近いビーチリゾートとしても、おすすめの地といえる。
海沿いに発展する市内には、海雲台海水浴場や広安里海水浴場、松亭、松島、多大浦といった海水浴場が点在。郊外には日光、林浪海水浴場もある。どこもそれぞれに風光明媚で、碧い海も印象的。釜山の海を初めて見た人は、思いがけない美しさに感動する。
どこも8月末まで海水浴が可能。日本と比べて期間が長いため、お盆休みに訪れてもビーチが楽しめるのも魅力だ。
韓国有数のビーチリゾート海雲台には、毎年1千万人以上の避暑客が訪れるという。弓なりに続く白い砂浜は、長さ約1・5㎞、幅70~90mの広さ。砂浜がカラフルなビーチパラソルで埋め尽くされる風景は、釜山の夏の風物詩でもある。
今夏はビーチの東側に、年内完成予定の超高層ビル群の風景も加わり、例年とは違った雰囲気を漂わせる。ビーチ沿いをコーヒー片手に散歩する外国人の姿も日常的で、本当に国際リゾートとして発展したのだなと感じさせられる。
また、釜山のシンボル広安大橋を正面にする広安里海水浴場も、地元の若者や日本人観光客に人気がある。湾状に広がるビーチは、長さ約1・4㎞で幅は30~110m。海沿いにはオープンテラスを持つおしゃれなカフェやレストラン、ホテルが立ち並び、海雲台とは異なる華やかさがある。
そんな中、注目したいのが西区に位置する松島海水浴場だ。ここは1913年に韓国で最初の公設海水浴場として開場。日本統治時代、日本人が起こした開発会社が、釜山で暮らす日本人の保養地として造成したそうだ。過去の写真(本紙掲載)を見ると、海の家に設置された日本語の看板からも、その様子が伝わってくる。
水深が浅く、波も穏やかな松島海水浴場は、まさに天然のビーチ。周辺には松が生い茂り、それが松島の名の由来になったという説もある。
私が初めてここを訪れたのは、8年前の夏の夜。駐車場には屋台がいくつか出ていて、熱海や伊豆のような昔ながらの海の町の趣を感じた。その後、日本との関わりを知り、なるほどと思った。そして、歴史というのは、時を経て形を変えても、空気感として残されるのだなと実感した。
松島海水浴場は6年前の開場100年記念以降、海上散策路や海上ロープウェイなどが設置され、海水浴場と周辺の風景も大きく変化した。現在では釜山を代表する観光スポットとなり、通年、大勢の人々が訪れている。
釜山の海では、夕方まで遊泳する人、夜遅くまで浜辺で遊ぶ人が多い。その光景に日本の海水浴場にはない、夏特有のパワーを感じる。私は20年以上、釜山へ通っているが、実は海で泳いだことがない。今年の夏こそは、松島の海に入ってみようと思っている。
(2019.07.10 民団新聞)