掲載日 : [18-12-19] 照会数 : 11258
歴史の風化に警鐘…関東大震災95年・追悼と人権の集い「ヘイトの根、絶とう」
[ 人権の集いで講演、歴史の風化に警鐘を鳴らした渡辺延志さん ]
民団中央本部人権擁護委員会(李根茁委員長)は8日、在日韓国YMCA(東京・千代田区)で「関東大震災朝鮮人虐殺を顧みる追悼と人権の集い」を開いた。大震災から95年。昨年に続く2回目の集会には、民団や日本の市民運動関係者ら70余人が集まった。
集いでは、薛幸夫副委員長が「歴史の改ざん、隠蔽、削除といった歴史修正主義は、同胞被害者を二度殺すものだ。私たちは暴挙を白日に晒し、責任所在を明らかにするために今後も証言の場に立ち続けよう」とあいさつした。続いて関東大震災の証言を記録した映画「払い下げられた朝鮮人 関東大震災と習志野収容所」が上映された。呉充功監督は「今日、災害が起きるとあの震災当時と同様のデマが流れ、在日同胞の生活が脅かされている。間違ったヘイトの根を引き抜き、新しい根を植えよう」と訴えた。
2部ではジャーナリストの渡辺延志さんが「関東大震災‐その時代と社会」について講演した。根拠を示さずに「虐殺の事実はなかった。日本人は悪いことをしない」と掲載された週刊誌のコラムに「日本社会の危うさを感じる」と危機感を示した上で、「日清戦争時に東学党の乱を制圧した軍人が在郷軍人会になり、後の自警団へとつながった。彼らには殺してはならないという倫理規範がない。何があったか今日の日本人一般に歴史の事実が共有されていない」と歴史の風化に警鐘を鳴らした。
金昌浩弁護士が国連報告を行った後、「国際社会に伝えていこう」と呼びかけた後、会場全体で犠牲者に黙祷を捧げた。李委員長は「16年6月にヘイトスピーチ対策法が施行されたが、直後の7月には相模原市で障害者19人を殺害したヘイトクライムが起きている。差別主義者の言動に触れ、傾斜していった末の犯行だった。私たちはヘイトスピーチの芽をつまなければならない」と強調した。
(2018.12.19 民団新聞)