500人 笑顔弾ませ友情芽ばえ

生の街に触れて…スタンプラリー
歌や民芸品作りも…小学校に体験入学

ソウル五輪在日同胞後援記念碑前で
金宰淑中央団長からスタンプラリーの
ゴール証明書をもらうオリニたち
誕生日を迎えたオリニたちをみんなでお祝い

 8月8日から12日まで韓国で開催されたオリニ・ソウルジャンボリー。日本全国からオリニたちが約300人、リーダー、保護者、運営スタッフらを合わせると総勢約500人の在日同胞が参加した。全日程が炎天下で進められたが、オリニたちは暑さにも負けず、本国の地で笑顔を弾けさせた。 オリニ・ソウルジャンボリーでは、核となるイベントが三つ行われた。

 一つ目は、ソウル市内を巡るスタンプラリー。オリニたちはあちこちに寄り道しながら観光を楽しんだ。街なかでは、本国のアジュンマから話しかけられドッキリする場面もあった。

 スタンプラリーは、韓国の街なかでオリニたちに生の韓国を体験させることで、韓国への興味を芽生えさせる意義深いものとなった。

 二つ目は小学校一日体験入学。学校側の全面的な協力により、本国児童と一緒に民俗ノリ、民芸品の製作、ハングル教室、歌の学習などを体験した。

 言葉が通じないことでとまどうオリニたちが多かったが、身振り手振りで意思疎通を図り、言葉が通じないながらも友情が生まれていた。

 小学校一日体験入学では、オリニたちが韓国文化を体験し、本国児童と触れ合いながら、言語の壁を超えて友情を育んだことによって、素直に本国に向き合うきっかけが作られた。

 三つ目は、最終日に行われたキッズパーティーだ。民団中央本部の金宰淑団長があいさつに立ち、リーダーたちの苦労をねぎらい、オリニたちに「韓国での感動を大切にして日本に帰ってください。そしてときどき思い出して、自分が韓国人であるということを忘れないでいてください」と語りかけた。

 オリニたちとリーダーらはテーマソングを一緒に大声で歌い、全身でダンスを踊り、一体となった。ダンスが終わり別れのムードが漂い始めると、会場はオリニ・ソウルジャンボリーの終了と、友達やリーダーとの別れを惜しむオリニたちの嗚咽に包まれた。

 キッズパーティーでは、日本で生活するオリニたちにとって、かけがえのない存在となる同世代の同胞との友情、人生の先輩となるリーダーらとの信頼関係を確め合うことができ、価値のある企画となった。

 終了時にはオリニやリーダー、運営スタッフらは疲れを見せていたが、みな一様に笑顔で満足気な様子だった。オリニ・ソウルジャンボリーは大成功と言える成果を残し、その幕を下ろした。

在日オリニが本国児童にペインティング
市内の食堂で本場の韓国料理を堪能

■□
オリニの声

 「キャンプファイヤーのときはみんなと別れるのがいやで、もっとずっといたいと思った。こんなに感動できるソウルのキャンプはもうないと思う。オッパが『これはまだ出会いの始めだから、これから遊んだりしていくんだ』って言ってくれたから元気になった」(韓麗・神奈川・6年)

 「4日間はあっという間だった。友達もできたころに離れるから寂しい。僕は6年生で今回が最初で最後だから、最終日の今日は一番楽しい思い出にしたい」(金秀俊・愛知・6年)

 「小学校訪問で、お別れの時に韓国の子がプレゼントをくれたからとてもうれしかった。韓国の友達も5人くらいできて、前の日に作った名刺が足りなくなった」(文智英・青森・5年)

 「キッズパーティーが一番楽しかった。何回も来たい。ずっとおりたい。友達と一緒におって泊まれて、女子とかも関係なく仲良くなれたり、韓国の学校の子たちとも友達になれて、楽しかった」(韓光勲・大阪・6年)

 「スタンプラリーが楽しかった。一番に帰ってきて『勝ったあ』と思った。水族館でアイスを食べたり、人工の雪が降ってきたり、冷たい水で遊んだりして楽しかった」(郭貴美・兵庫・6年)

 「友達がいっぱいできた。パーティーをすると言われて、みんな『いやだ』とか言っていたけど、最後はダンスしたりして乗っていた。そんな一体感が良かった。大人になったらまたこのメンバーで旅行に行きたい」(辛智陽・兵庫・5年)

 「ジェットコースターがこわかったけど、ロッテワールドが一番楽しかった。友達もいっぱいできた。手紙とかで連絡をとるつもり」(久保田実希・鳥取・6年)

南大門市場でショッピング
ロッテワールドでパレードに飛び入り参加

■□
リーダーの声

 「自分がオリニのときに祖国訪問団でかわいがってもらったので、お返しするつもりで来た。うれしかったのは、祖国訪問団でお世話になったリーダーの娘さんが僕の班にいたこと。その子が、僕に子どもができてオリニジャンボリーに参加するときは、自分がリーダーをして僕の子どもを見てくれると言ってくれて、それが一番うれしかった」(呉宗樹・神奈川・21)

 「ここまで感動するとは思わなかった。日に日にみんなが仲良くなってくれたり、『本当に楽しかった』と言ってもらえたりして、一生懸命頑張ってよかったと思った」(姜美央・大阪・29)

リーダーと一緒に明洞の街を元気に散策
キッズパーティーで別れを惜しみ
泣きながら抱き合うオリニたち

■□
保護者の声

 「子どもがハングルで名前を書けるようになっていた。韓国語の勉強も、帰ってきてからはモチベーションが違う。家族みなが本当に喜んでいる」(尹啓子・東京・36)

 「親が教えられないことを、本人が韓国で直接感じてくれた。保護者企画は知らないことが多く学べて、勉強になった」(金桃子・大阪・49)

(2004.8.18 民団新聞)