韓信協(在日韓国人信用組合協会=呉龍夫会長)の会員4組合と近畿産業信用組合の総代会が6月中に開催された。韓信協がまとめた会員4組合の2018年度業績によると、昨年に続き全会員組合が黒字決算となった。4組合の総預金高は昨年比181億5600万円増の9396億3400万円。貸出金は627億6500万円増の7329億9500万円となった。近畿産業信用組合の業績とあわせると総預金は2兆2825億円、貸出金は1兆6352億円となる。
預貸率の平均は5・28ポイントアップの78・01%。純利益合計は5億7900万円増の38億1100万円。預金では各組合とも微増だっが、貸出金は平均9・36ポイント増となった。純利益では横浜幸銀が24億円9300万円と昨年の倍増を見せ、あすかが8億6200万円、広島商銀は昨年並みの1億7900万円とし、愛知商銀は新本店ビル建設の関係もあり、昨年比4億3000万円減の2億7700万円となった。
配当率はあすかが2%、横浜幸銀、愛知商銀、広島商銀ともに1%と前年水準を維持した。自己資本比率は横浜幸銀9・15%、あすか8・71%、愛知商銀8・11%、広島商銀7・40%といずれも安定を見せた。
横浜幸銀信用組合 純利益大幅に増える
横浜幸銀信用組合(呉龍夫理事長。本店・横浜市、第3期)は6月26日、横浜市内のホテルで総代126人中100人(委任状59)。
一昨年の九州幸銀に加え、岡山商銀との合併で、さらに広範囲地域で収益基盤を拡大。「ファースト定期」「ベストパートナー定期」「子育て支援」など、各種キャンペーン定期預金商品の好評によって、預金は前期比250億7000万円増の4319億4800万円となった。貸出金も中小規模事業者への積極的な融資拡大で358億300万円増の3396億2000万円とした。預貸率は3・96%上昇の78・63%。自己資本比率は9・15%とし、昨年に続き国内基準(4%)を大きく上回った。これによって純利益も前期比13億4000万円増の24億9300万円と倍増した。配当率は前期と同じ1%とした。
呉理事長は「多くの協力を得て非常に良い業績を残せた。合併を繰り返し大きくなっているものの、新組合では7~8番目となっているが、全金融機関の中ではまだまだ弱小だ。今後も地域に密着した金融機関を目指し、役職員一丸となり努力していく。来年2月には新本店ビルがオープンするが、支店や営業店舗の見直しも含め、当組合をさらに大きくしていきたい」と抱負を語った。
あすか信用組合 ネット広報で貸出金増
あすか信用組合(金哲也理事長。本店・東京都、第53期)は22日、東京都内のホテルで総代105人中84人(委任状40)が出席。
預金残高は定期預金商品の利率引き下げの影響で前期より減少したものの、特別金利定期預金の「あおば」「あすか」や、60歳以上限定の「シルバー定期」、組合員限定の「プラチナ定期」といった主力商品が根強い人気を続けた。預金は前期比122億2800万円減の2634億9700万円となった。
貸出金はインターネット広告の強化に加え、不動産担保ローンなどの積極販売によって、189億1000万円増の2115億600万円となった。預貸率は10・42%増の80・27%、自己資本比率は8・71%とした。
純利益は市場金利のさらなる低下に加え、睡眠預金払戻損失引当金として4億4400万円を積み増ししたため、前期より3億3900万円減の8億6200万円となった。出資配当は前期と同じ2%。
金理事長は「預金、純利益などでマイナス面はあるものの、一般の会社の営業利益に相当する業務純益は16億4000万円と前期に比べ大幅に増加するなど、全体の内容的にはまずまずの結果を残せたと思う。米中貿易摩擦など、世界の経済情勢を鑑みると、今期の日本経済はさらに厳しさを増すと予想される。人材活性化、業務簡素・効率化を図り、地域金融機関としての使命を図っていきたい」と述べた。
信用組合愛知商銀 新本店竣工で飛躍へ
信用組合愛知商銀(大原清二理事長。本店・名古屋市、第66期)は6月28日、名古屋市の愛知韓国会館(民団愛知本部会館)ホールで総代109人中107人(委任状31)が出席。
地域密着型金融に注力するとともに、地域情報を活用した事業再生、創業・新事業への積極支援や事業性評価融資など、質の高い金融仲介機能の実現をめざした。
「シルバー定期預金」「すまいる定期預金」の売れ行きが引き続き堅調さを見せ、預金は前期比35億円増の952億9400万円となった。
貸出金は「目利き力を生かした事業性評価融資」をモットーに取り組んだことで個人・法人の顧客数が増え、各企業の設備投資や不動産購入が活発化し、24億9400万円増の691億1200万円となった。預貸率は0・05%減の72・53%。自己資本比率は、昨年並みの8・11%。純利益は4億3000万円減の2億7700万円で配当は昨年と同じ1%。
大原理事長は「55年ぶりに新本店ビルの新築移転し創立65周年を迎える節目の今年はさらなる精進と飛躍をめざし全役職員が一体となって邁進していきたい。引き続き①法令遵守②取引先拡大③人材育成④安定収益確保⑤不良債権管理⑥事務ミス撲滅⑦業務効率化を経営の柱に実効性高い取り組みを続ける」と語った。
広島商銀信用組合 60周年を見据え出資金増強
信用組合広島商銀(井上一成理事長。本店・広島市、第58期)は6月26日、本店で総代103人中103人(委任状46)が出席。
2年後の60周年を見据え、一昨年から展開している健全性を高めるため「出資金増強キャンペーン」によって、自己資本比率が0・28%上昇の7・40%とし、7%台を維持した。
預金は各種キャンペーンに努めたことで個人は増加したものの法人が他行との競合の影響もあって減少したが、総預金は前期比18億1100円増の1488億9500万円となった。
貸出金は営業推進体制を強化し、太陽光事業、ホテル業、不動産業などの特定分野への新部門を設置したことで、前期比55億5800万円増の1127億5700万円とした。預貸率は2・85%増の75・73%。純利益は前期比800万円増の1億7900万円で配当率は1%。
井上理事長は「本格的な少子高齢化と人口減少に加え、低金利環境においての持続可能なビジネスモデルの確立が求められている。2年後の60周年を迎えるにあたり、地域社会に必要とされる『オンリーワン』の金融機関に繋げるために現場力の強化を柱に金融仲介機能の発揮と経営の健全性、透明性向上に努め、安定した収益基盤確立を図りたい」と述べた。
近畿産業信用組合 収益目標を超過達成
近畿産業信用組合(大本崇博理事長。本店・大阪市、第66期)は6月20日、新本店ビル「きんさんホール」で総代190人中175人(委任状71)。
2013年からスタートした「5カ年中期計画」で掲げた収益力強化の必然性を占う昨年度は、所期目標を超過達成した。預金は前期比0・54%増の1兆3429億円と微増だったが、貸出金は4・89%増の9023億円とした。
預貸率は2・79ポイント上がって67・19%に。純利益は新本店移転による遊休不動産売却を含めたこともあり、29億1100万円増の96億2800円となった。
任期満了に伴う役員改選では大本理事長を再任したほか、4人の理事を再選、1人の監事が新任され、役員構成は理事15人、監事2人とした。
大本理事長は「今年は念願の新本店オープンを果たし100年先の未来を展望した大切なスタート年だ。これまで培ってきた収益力の基板と強固な内部管理態勢をさらに盤石にし、全役職員が一丸となって業務に精励していき、地域経済をしっかりと支える大樹となるべく、使命を果たしていく」と表明した。