掲載日 : [2017-09-13] 照会数 : 7478
韓国テンプルステイ<12>母岳山 金山寺
[ 韓国唯一の3階法堂・弥勒殿 ]
[ 高さ11・82㍍の弥勒像(中央) ]
圧倒される3階法堂の「弥勒殿」
「食の都」「伝統芸能の故郷」などと称される全州(全羅北道)からバスで約1時間。歩いて15分ほどで一柱門に着く。ここのテンプルステイは体験者の満足度が高いと評判がいい。期待しながら週末に予約を入れた。
参加者は、定年退職者の夫婦と大学生2人、小学校の女性教師2人、小生の計7人(男4、女3)。宿舎は離れにあり、かつて僧侶の修行の場であった。20畳ほどの広い部屋を学生と一緒につかう。
まずオリエンテーションで、五体投地法の礼拝方法について丁寧に教えてもらい、木魚も実際にたたかせてくれた。なぜ「サカナ」かというと、魚類はいつも目を開けっ放しだからとのこと。梵鐘閣では各自3回ずつ鐘を突かせてくれたのも貴重な体験だ。「ボ〜ン」と遠くまで響く音色に心がやすらぐ。
打楽器による儀礼が終わると、本堂の大寂光殿で礼拝がはじまる。驚いたことに、広い殿閣には5如来と6菩薩の仏像11体が並ぶ。これだけ仏像が勢ぞろいしていると、願いごとの一つでも叶えてくれそうな気がしてくる。
本堂のななめ向かいには韓国唯一の3階法堂・弥勒殿(国宝)がたつ。高さ12・7㍍あり、装飾性が少ないだけ荘重感がただよう。中に入ると天井までオープンになっており、弥勒三尊仏の迫力に圧倒される。中央の弥勒像が高さ11・82㍍、左右の法華林菩薩と大妙相菩薩の像は8・79㍍に達する。最大のパワースポットだけに参拝する人が絶えない。
108個の珠をつなぐ数珠つくりは、自分の好きな殿閣で礼拝をしていいというので、弥勒殿でおこなうことにした。五体投地法による礼拝をするたびに珠を1個ずつ糸につないでいく。108拝と呼ばれ、しだいに体が汗ばんでくる。それだけに思い出の数珠となる。
日が傾きかけたころ、マキをくべるオンドルの焚き口を囲み、尼僧2人との茶話会。この寺自慢の、アルミホイルに包んで焼いたホカホカのジャガイモなどによるおもてなしに話が弾んだ。
百済時代の599年に建立され、かつて母岳山(793㍍)で砂金が採れたことから、金山寺と名づけられたらしい。766年、真表律師が再興したのを契機に弥勒信仰道場としての名を高めた。16世紀末の壬辰倭乱のときに伽藍の大部分を焼失したが、1626年以降、宗文大師らによって復元された。
2日目の昼食後、バス停まで学生の文君に同行していく。兵役を終え復学するまで、各地を回っているとのこと。ここから木浦に行き、船で済州道に向かう。若いときの旅は人生のこやしになるにちがいない。
◇全羅北道金堤市金山面母岳15路1(℡8263‐548‐4441)
五体投地法 額と両ひじ、両ひざの5カ所を地につけ、両手のひらを上にむけて最高の敬意を示す礼拝方法。仏殿ではざぶとんを敷いてまず合掌した姿勢でお辞儀し、五体投地の礼拝を3度繰り返すのが作法。
宋寛(韓国文化研究家)
(2017.9.13 民団新聞)