掲載日 : [2017-12-08] 照会数 : 9571
盛り上がった韓日交流<壱岐で国際交流文化祭>
[ キムジャン教室で真剣なまなざしで講師の手元をみつめる参加の主婦たち ]
[ 壱岐市日韓国際交流文化祭の伝統芸能交歓のあと勢揃いして会場に挨拶 ]
伝統芸能を交歓 文化祭19回に
第19回日韓国際交流文化祭が5日、壱岐文化ホールで開催された。同イベントは壱岐市文化団体協議会(山口宏司会長)が1999年以来、毎年継続開催しているもので、今年はとくに「朝鮮通信使」の世界遺産登録を記念して韓国伝統芸能公演に韓食のPRイベントを加えた。
長崎県壱岐市は国際交流事業の一環として事業費の一部を支援している。同市では最も近い隣国である韓国と文化交流を行い、韓日の友好・親善の輪を広げ、市民レベルで文化から経済まで幅広い国際交流を繋げていく場ととらえている。
壱岐文化ホールでのメーンステージでは韓国の伝統公演芸術振興財団が派遣した舞踊チームとサムルノリチーム、日本からは壱岐市の民謡、舞踊、箏など、各種日本伝統芸能集団によって約3時間の公演が行われた。
プログラムは、韓国側が農楽隊によるパレード「キルノリ」で始まり、韓国宮廷の宴で披露される「太平聖代」、サムルノリ、カヤグム、珍島太鼓舞など10演目、日本側は舞踊、民謡、筝、和太鼓など8演目が交互に披露された。
最後はサムルノリのラストパフォーマンスといわれる「パングッ」で締めくくった。
同事業のきっかけとなったのは、訪日した金大中大統領と小渕首相による韓日パートナーシップが宣言された98年のことだ。壱岐市自治公民館連絡協議会の代表が済州道を訪問し、国際観光、国際会議、国際スポーツ大会の誘致など済州道の振興発展や教育文化充実による次世代育成の取り組みなどを研修してきた。翌年、再度訪韓し韓国国立国楽院と両国芸能文化の交流を推進していくことで合意し、11月に韓国から伝統芸能団を招き、第1回が開催された。その後、壱岐市と韓国で毎年交互に訪問し合う形式をとることになった。
韓食フェア大好評
キムジャン教室、屋台にはチゲ、チャプチェ
今年は韓日友好のシンボルでもある「朝鮮通信使」がユネスコの世界記憶遺産に登録されたことを記念して、企画を拡大し、韓食の紹介が加わった。
日本韓食振興協会(旧民団韓食ネット)が協力した韓食フェアでは、キムジャン(キムチ漬け)教室のほか、韓食屋台を設置し本場の韓国料理を味わってもらった。
準備したメニューはチャプチェ、ニラチヂミ、1年熟成キムチと豚肉のチゲ、鮮魚の煮付けなど5品に加え、長崎県のブランド牛「壱岐牛」のステーキ。イサキのピリ辛煮付け、アオリイカの韓国風刺身なども入れ、野菜や魚介類、牛・豚肉など、食材の多くは壱岐島産を利用した。
試食した市民らは「どれも美味しい。とくに熟成キムチチゲにはまった。持って帰りたい」と大好評だった。娘が韓国に嫁いだという女性は「里帰りする度に娘がチヂミを焼いてくれるの。この香りを嗅ぐと心が和む」と目を細めていた。
午前中に行われたキムジャン教室は申し込みが殺到し、30人の定員をオーバーする41人が参加した。指導に当たったのは同協会副会長で韓国料理研究家の崔誠恩さん。崔さんは本場キムチのヤンニョン(キムチの素)の素材や下ごしらえ方法、漬けたあとの食べ頃、からだへの効能などを説明したあと、白菜1枚1枚に丁寧に塗るキムジャンの手順を実演した。
参加者は熱心にメモを取りながら説明に集中していた。
イベント後の懇親会で壱岐市文化団体協議会の山口宏司会長は「食と文化という民間レベルの交流が一番大切。世界遺産になった朝鮮通信使のようにこの交流も未来、世界遺産になるよう継続していこう」と呼びかけていた。
日本韓食振興協会の崔千浩会長は「予想以上の人気だった。壱岐の人たちが初めて味わったという韓食もあり、今後も全国で韓食をPRしていきたい」と話していた。
(2017.12.08 民団新聞)