「未来創造元年」のキーワードを掲げた2017年。民団は70周年を迎えた昨年に発信した「未来創造メッセージ」提言の実践化を最重点事業に、次世代育成、韓日友好・共生促進などを重点事業として活動を展開した。未来創造メッセージの実践化では役員就任要件の緩和、同胞大統合、民団財産の保全、経済活動の支援、組織強化を図るため規約改正の論議も進めた。一方で次世代育成に関しては結成40周年を迎えた青年会が記念事業として実施した「共育フォーラム」と「青年幹部母国ワークショップ」を通じて全国の青年たちが一堂に会し在日青年と青年会の未来像などを語り合った。韓日友好・共生の促進に関しては朝鮮通信使の世界遺産登録実現に向けたPR活動を各地で展開した。さらに草の根活動をねばり強く広げ、昨年成立させた「ヘイトスピーチ対策法」をより効力のある「禁止法」に変えるべく、日本政府・国会に働きかけるとともに、地方自治体での条例制定を求める活動を地道に進めた。また、東京、大阪、福岡の3都市でブロック別の「地域同胞指導者ワークショップ」を初開催し、団員あっての支部のあり方と団員の信頼に応える組織活動の在り方を模索した。
◆「慰安婦合意」の誠実履行を…本国要人に要望 民団中央本部の呉公太団長と韓在銀監察委員長は2月6、7の両日、在日本韓国人連合会(韓人会)などの幹部らとともに、外交部の尹炳世長官や女性家族部の姜恩姫長官のほか、主要政党の代表らと面談し、「慰安婦問題合意」の誠実な履行と釜山市の日本総領事館前の「少女像」の移転を要望した。同問題では1月17日、李俊揆駐日大使に文書で申し入れをしたが、直接本国に要望活動を行うことや、他団体とともに活動するのは初めて。両長官らは民団を中心に構成した在日同胞団体の要望に対して、「ハルモニらに被害が及ばないように努力する」と語った。
◆相次ぐ合併で体力作り…横浜幸銀 韓信協(在日韓国人信用組合協会)の会員組合である横浜中央信用組合と九州幸銀信用組合が3月13日をもって合併し、横浜幸銀信用組合(理事長=呉龍夫韓信協会長。本店・横浜市、本部・横浜、福岡)としてスタートした。営業エリアは関東、北陸、甲信越、九州の16県にまたがる広域圏となり、全国153の信用組合ランキングは、預金で14位、貸出金は9位となった。また、6月には岡山商銀が横浜幸銀と合併に合意、11月27日に、横浜幸銀岡山支店と倉敷支店として営業を開始した。
◆大統領選…日本地域は投票率下がる 5月9日に韓国で投開票された第19代大統領選挙の在外投票が4月25日から30日まで、全国16カ所の投票所で行われた。中央選管の発表によると、在外有権者数29万4633人中、歴代最多の22万1981人が投票し、投票率は75・3%だった。前回の第18代大統領選挙の投票数15万8225人よりも6万3756人も増加した。しかし、日本地域は前回より登録・申請数が増えたにもかかわらず、投票率は前回の67・8%から56・3%と下がった。
◆平昌五輪成功へ江原道と協約 民団中央本部の呉公太団長は4月12日、江原道の崔文洵知事との間で、2018平昌冬季五輪の成功開催と相互の共同発展を図るため、「相互協約書」を締結した。協約書は1,民団が平昌五輪の参観団1000人を目標に努力,2江原道は参観団募集へ積極支援3,民団は日本で五輪広報と雰囲気醸成に積極協力−など5項目。あわせて民団は募金運動も開始した。
◆世界遺産化へ「朝鮮通信使」アピール…友情ウオーク 4月1日にソウルを出発した「第6次21世紀の朝鮮通信使 ソウル−東京友情ウオーク」の韓国・日本・在日ウオーカーが5月22日、ゴール地点の東京・日比谷公園に到着し、出迎えの人たちの大歓迎を受けた。総参加者は延べ2756人に達し、52日間で約2000キロを歩き、「朝鮮通信使」の世界記憶遺産登録を広くアピールした。
◆韓商連、統合そして未来へ55周年祝う 昨年統合した一般社団法人・在日韓国商工会議所(韓商連)の創立55周年記念式典と祝賀会が5月19日、東京都内のホテルで開催された。地方韓商や民団関係者のほか日本の政経人士も多数が列席、約500人が華やかに55年の歩みを祝し、同胞商工人は新たな団結を誓い合った。
◆社会発展に寄与する人間に…京都国際学園が70周年
京都国際学園(朴慶洙校長)の創立70周年記念式典が5月13日、同校で開かれた。在校生と教職を含む約460人が参加するなか、朴慶洙校長の開会辞に続き、金晃理事長は「在日韓国人は民族的自負心を持って、韓国人であることを自覚し、日本人学生は韓国をよく理解し、韓国と日本社会の発展に寄与してほしい」と述べた。
◆草の根交流で40年…日韓協中央会
日韓親善協会中央会は5月22日、2017年度年次総会を都内のホテルで開催した。河村建夫会長は、韓国の文在寅大統領の就任に触れ、「日韓関係の改善と親善交流の深化に向けて、新大統領が指導力を発揮されることを期待する」と述べた。また、昨年が中央会の創立40周年であったことを記念して、全国各地で長い間、草の根的に日韓親善に尽力してきた39人を表彰した。
◆青年会がヘイト目的の施設利用不許可を要望
在日韓国青年会中央本部(朴裕植会長)と東京本部(鄭昇栄会長)は、5月15日から22日にかけて東京都庁と都内23区役所を訪れ、人種差別を目的とする公共施設の使用不許可を求める都知事と各区長あての要望書を提出した。青年会では5月末から「地方活性化キャラバン」を展開し、16地方本部でも同様の要望活動を行った。
◆世界韓食フォーラム…日本初、札幌で開催
韓国政府が官民を挙げて推進している韓食(韓国料理)のグローバル化を目的に世界各国同胞の韓食業者と団体が一堂に会する「世界韓食フォーラム」が6月9日までの3日間、札幌で開催された。今回は、焼肉など在日同胞が築いてきた日本における韓食の成功例を紹介し、今後の方向を提起する意見開陳が行われた。また平昌五輪組織委員会が選んだ「韓食メニュー10選」を実演調理し日本の飲食業界関係者に紹介する「アカデミー・イン札幌教室」も行われ人気を集めた。
◆ヘイト根絶と韓日友好増進へ…婦人会大研修
今年で39年目、通算249回となる在日韓国婦人会(朴善岳中央会長)の全国大研修会(韓日文化交流セミナー)が6月8日の中北地協を皮切りに7月5日の東北地協まで全国6カ所、合わせて約2000人が参加した。各地での研修では3日間、韓日関係やヘイトスピーチ根絶など時局問題の講演を受けながら、幹部としての資質向上に努めた。同時に、各地方本部幹部会議で当面の課題を論議し、幹部間の連帯を深めた。
◆バトンを次代へ…青年会が結成40周年
青年会中央本部(朴裕植会長)は9月30と1日、東京・渋谷の国立オリンピック記念青少年総合センターなどで結成40周年記念「在日青年共育フォーラム2017」を開催。全国から集まった会員130人が韓服を着用してセレモニーに臨み、韓半島にルーツを持つ在日青年としての結束を再確認した。席上、青年会のバトンを子ども世代にまで引き継いでいくとの決意を込めた「未来ビジョン」も発表された。
◆在特会のヘイト、相次ぎ有罪
「在日特権を許さない市民の会」(在特会)から差別的な発言を受けたとして、在日同胞の李信恵さんが在特会と桜井誠元会長に損害賠償を求めた控訴審判決が6月19日、大阪高裁であり、裁判長は在特会側に77万円の賠償を命じた大阪地裁判決を支持し、双方の控訴を棄却した。在特会側が上告したが、最高裁は11月29日の決定でこれを退けた。また、李さんが差別扇動サイト「保守速報」の運営男性に損害賠償を求めた裁判で、大阪地裁は11月16日、ヘイトスピーチと認定し、200万円の支払いを命じた。桜井氏はこれ以前に、有田芳生参院議員のツイッターに名誉を傷つけられたとして損害賠償を求めていたが、東京地裁は9月26日、桜井氏の過去の発言をいずれもヘイトスピーチと事実認定し、差別的言動解消法に違反すると断罪した。
◆在日同胞大統合に注力…地域指導者ワークショップ
民団中央本部の「2017年地域同胞指導者ワークショップ」が6月から7月にかけ、関東・東北、九州・中国・四国、近畿・中北の3カ所で開催された。延べ300人の幹部が参加した。在日同胞の大統合を図るとともに、団員あっての支部のあり方と団員の信頼に応える組織活動のために戸別訪問の必要性が改めて強調された。また、地方本部3機関長の就任要件緩和に関する規約改正の公聴会も併行した。
◆民団就職フェア なりたい自分めざす
民団中央本部主催の合同企業説明会(「民団就職フェア」)が7月1日、東京・港区の韓国中央会館で開かれ、関東圏はもとより東北、中北、近畿、中国、九州から昨年を上回る224人が参加した。就活学生のなかには日本人も多数を占め、留学や専門学校で学んだ韓国語を活かせる職場を求めていた。会場には18社がブースを構えた。8月28日には福岡県でも初開催した。
◆伝統と絆を後世に…各地方で70周年
昨年創団70周年を迎えた民団。今年は大阪、京都、東京、栃木、岩手、山梨、福島、千葉、山形、秋田、静岡、茨城の12地方本部が創立70周年を迎えた。各地方本部とも記念式典や祝賀会ほかスポーツ、娯楽、交流行事等の記念イベントを開催。70年の歴史と絆を土台に、韓日両国から必要とされ、信頼される組織づくりへ決意を新たにした。来年は23地方本部が70周年を迎える。
◆実力拮抗! 11回目のオリニフットサル
創団60周年を記念し2007年から始まった「民団中央団長杯オリニフットサル全国大会」(在日本大韓体育会主催)が7月9日、三重県のカルチャービレッジ輪中ドームで開催され、北海道から福岡まで全国から18チーム約200人が熱戦を繰り広げた。今年で11回目を迎えオリニサッカーの全国大会としてすっかり定着。崔相英体育会会長は、「今年もたくさんのチームが参加し、素晴らしいプレーを見せてくれた。将来、この中から国家代表選手が育ってほしい」と激励した。
◆194人の次世代が学び、語り、母国を感じる
在日同胞の中・高・大学生を対象に夏休みを活用して実施された民団主催(在外同胞財団後援)の2017次世代サマースクールが7月25日の中学生を皮切りに高校、大学生コースまで8月11日に終えた。小学生時代にオリニジャンボリーに初参加して以来、中・高・大学コースへのリピーターも多く再会を喜びあう場面も見られた。北海道から沖縄まで全国から参加した194人は4日間、ともに学び、語り合いながら新たな絆を育んだ。「韓国の発展史」や「民団と在日の歴史」などを学んだほか、民俗村では韓服にまとって伝統に触れあった。また、グループディスカッションなどを通じて在日の仲間として連帯を深めた。
◆北韓の暴挙へ怒り…全国5都市で示威行動
北韓の度重なる核・弾道ミサイル開発を糾弾するため、民団は9月15、16の両日、各地方協議会主催のもと、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の5都市で「北韓の核ミサイル挑発を糾弾する示威行動‐韓半島の平和を守れ‐」を決行した。全国で約2000人の同胞らが北韓の核やミサイル発射実験および北韓に追従する朝総連を糾弾する集会とデモ行進を行い、民団の立場を明確にした。
一部地域では日本人も自発的にデモ行進に加わり、団員を勇気づけた。
◆高内里親睦会が祝賀会…愛郷心を絆に90周年
在日同胞の郷土親睦会としては最も古い、在日本高内里親睦会の創立90周年祝賀会が10月15日、東京都荒川区のホテルで開催された。120人の会員と家族をはじめ、民団東京本部と支部役員のほか、駐日韓国大使館からも李讚範総領事らが参席した。金哲祥会長は「ひとえに故郷を愛する気持ちこそが長年、親睦会を支えてきた原動力になったと思う。伝統を重んじながらも新しい目線に立ち、しっかり連帯を図っていきたい」と新たな出発を誓った。
◆在日同胞が劇的逆転で6連覇…韓国国体
韓国国体・忠北大会で在日同胞選手団(権五雄選手団長)は、最終日の10月26日にゴルフ女子の部で金メダル2個を追加し、金7、銀4、銅6個とし、18カ国の同胞で競われた海外同胞部門の総合優勝を飾り、連覇の記録を6と更新した。在インドネシアの金メダル数を追う展開となった総合優勝は最後の種目、ゴルフで逆転優勝を決めた。
◆追悼文見送った小池都知事に再考迫る
東京都の小池百合子都知事が墨田区の都立横網町公園で毎年9月1日に営まれている「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」への追悼文を今年は断った。これに対し民団東京本部(金秀吉団長)は8月30日、東京都庁を訪れ、小池百合子都知事自ら横網町公園内に建つ「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」前に足を運び、すべての犠牲者に黙祷するなど、心からの哀悼の念を捧げてほしいと要望した。地元の山本亨墨田区長も「都の対応を参考にした」として追悼文を取りやめ、これに対し青年会東京本部が区長に追悼文送付を求める要請文を提出した。
◆多様化する同胞が一堂に…在日の歴史学び一体感
在日同胞社会の青年層は3、4世だけでなく、新規定住者とその子どもや留学生など、多様化が進んでいるが、互いに理解を深める場として「在日青年の集い〜つなげようネットワーク」が10月14日、東京・品川のTKPカンファレンスセンターで開催された。駐日韓国大使館が主催、民団中央本部が主管した。青年会、学生会、留学生会の会員をはじめ中国朝鮮族など、20代から40代までの在日同胞約80人が参加し、共に在日同胞の歴史を学び、同じ民族として意識を共有した。
◆福岡で743世帯戸別訪問…全国から応援態勢
民団中央本部が10月15日までの9日間、「戸別訪問集中活動in福岡」を展開した。今回は福岡支部管内全域の団員宅を対象に絞り、743世帯を訪問した。活動したのは福岡県本部をはじめ、管内の福岡、八幡、小倉、田川、飯塚の5支部をはじめ、中央本部組織局と愛知、京都、広島、山口、長崎、佐賀、大分、熊本本部と青年会幹部のほか、福岡総領事館と在外同胞財団の職員を含め、延べ192人が連日団員宅を訪問した。福岡県本部の李相鎬団長は「同胞宅を訪ねることで団員の実情もわかった。ともに活動した地方本部にも感謝したい。今後も団員との接点を大切に地に足をつけた活動にまい進したい」と決意を新たにした。
◆「悩む同胞に寄り添う」…生活相談センター10周年
「みんだん生活相談センター」の地方開設が相次ぎ、すでに全国14カ所に広がった。開設10周年を迎えた中央本部「みんだん生活相談センター」(金昭夫所長)は12月5日、全国の専門相談員と事務局担当者を東京・港区の世界貿易センタービルに招き、初めての意見交換会を行った。各地の参加者からは相談センターの横のつながり、情報交換は有意義と歓迎する声が上がった。
◆「朝鮮通信使」世界遺産登録決まる…各地で華やかに祝賀パレード
国連教育科学文化機関(ユネスコ)は10月30日、歴史的文書などを対象とする「世界の記憶」(世界記憶遺産)に「朝鮮通信使に関する記録」の登録を決めた。民団は今年度の方針で韓日友好・共生促進を打ち出し、その中で「朝鮮通信使世界遺産登録」を掲げていた。呉公太団長は31日、歓迎の談話を発表した。韓国の釜山文化財団と日本のNPO法人「朝鮮通信使縁地連絡協議会(縁地連)」(長崎県対馬市)が昨年3月、共同申請したもので、朝鮮通信使に関する外交文書や旅程の記録、文化記録など111件333点(韓国側63件124点、日本側48件209点)が対象。登録決定の朗報に民団や日本市民団体らによる朝鮮通信使を再現するパレードが各地で続いた。
◆ヘイトスピーチ禁止法を…国連人権理が日本に勧告
国連人権理事会は11月14日、日本政府に対して第3回審査を実施し、16日に結果を発表したことに基づいたもの。民団人権擁護委員会は、UPR審査の事前準備のための情報提供として、民族的マイノリティーの権利の否定、人種差別禁止法の不在、ヘイトスピーチ・ヘイトクライム、永住外国人の地方参政権の欠如、公務就任権の制限など、在日韓国人が直面する問題に関する報告書を今年3月に国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)に提出したほか、11月に人権擁護委員をジュネーブに派遣し、政策提言活動実施など、UPR審査に対して働き掛けてきた。
◆元中央団長・鄭進顧問永眠
民団中央本部の第46、47代団長を歴任した鄭進常任顧問が宿患のため9月18日午後3時40分、死去した。享年80歳。民団葬は11月21日、韓国中央会館(東京・港区)で営まれ、民団や婦人会など全国各地から故人ゆかりの関係者が参列したほか故人と親交が深かった韓日両国の国会議員ら各界の要人300余人が最後の別れを惜しんだ。
(2017.12.20 民団新聞)