掲載日 : [2018-01-01] 照会数 : 9480
韓日 新たな友好時代へ…中央団長新年辞

多様な同胞の結集を…「ヘイト」との闘いも強化
新年辞 中央団長 呉 公 太
◆「通信使」保存の重責
戊戌(つちのえいぬ)の新年を迎え、在日同胞の皆様に謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
昨年を振り返りますと、朝鮮通信使のユネスコ世界記憶遺産登録という朗報に接したことをまず皆様と喜びたいと思います。韓日関係が厳しいと言われる中で、両国の民間団体が協力し合い、精力的に活動を推進してきたことの成果です。関係者の方々に改めて心から感謝を申し上げます。
登録遺産実現のために、中央本部は日本側のNPO法人朝鮮通信使縁地連絡協議会に加盟し、全国の地方本部にも協力を呼び掛けてきました。1支部23本部が趣旨に賛同して加盟し、地域社会の国際イベントを通じて朝鮮通信使パレードを再現しながら異文化理解や多文化共生を訴えてきました。
私たち民団は、これから朝鮮通信使関連記録を「世界の宝」として保存管理する一翼をしっかりと担いながら、今後も韓国と日本の懸け橋の役割を積極的に果たしていきたいと思います。今年は金大中大統領と小渕恵三首相が結んだ「韓日共同宣言」から20周年の節目の年です。私たちは韓国と日本の新たな友好時代の幕開けに繋げていくことを約束いたします。
◆北韓の暴挙を糾弾
親愛なる在日同胞の皆さん!
その一方で、北韓の執拗なミサイル発射や核実験によって、日本、韓国等の北東アジアのみならず世界平和が脅かされ、韓半島を取り巻く情勢は極度の緊張状態にあると言っても過言ではありません。
私たちは北韓の暴挙が人類全体への犯罪行為であることを糾弾し、核やミサイル開発の即刻中止と、これに費やす膨大な時間と資金を飢餓にあえぐ自国民救済に充てるべきであると警告してきました。
こうした北韓の暴挙に対して盲目的に称賛を送る朝鮮総連に対しても、金正恩独裁政権の核・ミサイル阻止のために共に行動することを呼びかけてきました。
朝鮮総連は、在日同胞経済の基幹産業とも言える遊技業業界が強い締め付けを受けるに至った契機・要因が、北韓の核・ミサイル開発であり日本人拉致問題であることを深刻に想起しなければなりません。北韓の一連の国家犯罪が在日同胞全体の生活を圧迫している現実を無視し、『同じ民族同士』という情緒的な文言で民団に接触・かく乱しようとする朝鮮総連とこれに追随する勢力の策動に団員の皆さんは絶対に乗せられてはなりません。
加えて私たちの日常的かつ深刻な懸念は、「北韓憎し」の感情が日本で日ごとに高まり、レイシストがこれに便乗し「嫌韓」感情を煽り、ヘイトスピーチやヘイトクライムに繋がることです。在日同胞の生活と生命を守る民団として絶対に許すわけにはいきません。
親愛なる在日同胞の皆さん!
韓日関係は、文在寅大統領が7月の初の韓日首脳会談で、両国首脳が相互に相手国を訪問するシャトル外交の再開合意などの成果を上げました。
これまで2度の会談と9度にわたる電話会談で、韓日両国は北韓への対応など基本的な合意をしており、韓米、韓中首脳会談でも対北政策について意見の一致をみています。文大統領の訪日も近いという話もあり、民団として歓迎したいと思います。
◆「韓日合意」守るべき
2015年に韓日の政府間で交わした慰安婦問題の「韓日合意」は守られるべきというのが民団の基本的な立場であることに変わりありません。幾多の難しい問題があるにせよ、誠実に履行されるようにこれからもより一層、韓日の懸け橋として、民間外交を担う在外国民団体として、新政権を支えていく所存です。
◆「禁止法」制定求める
今も在日同胞を苦しめるヘイトスピーチに対しては、「ヘイトスピーチ対策法」に罰則を含めるべく同法の改正や包括的差別禁止法の制定を求めてきました。11月の国連の人権理事会での「普遍的定期的審査」(UPR)においても代表団を派遣しヘイトの問題を訴えてきました。野放し状態になっているインターネット上のヘイトスピーチについても、人権救済申立てや法規制がかかるよう最善の努力を続けていきます。さらに全国の自治体レベルでの条例化のための運動を継続しヘイトスピーチ根絶まで闘っていきます。
◆平昌五輪成功へ
親愛なる在日同胞の皆さん!
平昌五輪が目前です。民団は五輪を成功裏に運営しようと誠金運動で1億円を達成しました。募金を寄せていただいた全国の同胞の皆様に厚くお礼を申し上げます。韓国で初めて開かれる冬季五輪を、国家と国民、在外同胞の威信をかけて必ず成功させましょう。88ソウル五輪を成功させ、世界の人々に韓国を印象づけた、あの民族の底力を再び内外に誇示しましょう。
結びに当たり、昨今の在日同胞社会の大きな構造変化に対して、規約改正も含め、民団の改革が急務であることを訴えます。韓国籍同胞が中心である民団の基本は変わりありませんが、在日同胞の大統合を視野に入れた時、韓半島にルーツを持つ日本国籍同胞や新定住の同胞を広範に結集する必要に迫られています。一致団結した民団の求心力でこれからの100年後を見据えた民団をつくっていきましょう。
本年が、すべての団員と民団の周辺にいる同胞の皆様にとりまして、幸多き年になりますよう祈念し、私の新年のご挨拶といたします。
(2018.01.01 民団新聞)