掲載日 : [2021-11-24] 照会数 : 4460
「川崎市条例」を全国へ…人種差別撤廃講演会 民団神奈川と領事館共催
[ 朝鮮奨学会の権清志代表理事(左)によるパネルディスカッション ]
【神奈川】ヘイトスピーチに罰則を課す全国初の川崎市条例の現状と課題を考える講演会「地域から人種差別をなくそう」が23日、川崎市のカルッツ川崎で開かれた。川崎市条例の全国化をめざして駐横浜大韓民国総領事館(尹喜粲総領事)が民団神奈川本部(李順載団長)と共催した。
「川崎市市民ネットワーク」の一員として条例の制定を後押しした崔江以子さん(川崎市ふれあい舘館長)は基調講演で「少なくとも死ね、殺せという言葉が使えなくなる」と条例制定の意義を強調した。
一方、課題もある。学識経験者で構成する差別防止対策審査会の活用が十分でなく、街宣行為やインターネットを使った差別的言動への対策が不十分な点だ。
崔さんは「川崎市が条例の運用に慎重なのは他市への広がりに欠けるから」と指摘した。
引き続いてのパネルディスカッションで報告した神奈川新聞の石橋学記者(川崎総局編集委員)によれば、同様のヘイトスピーチ禁止条例は氏名公表の大阪市をはじめ東京都、世田谷区、国立市、神戸市、香川県観音寺市などに広がっている。神奈川県では相模原市が意欲的。
同じく師岡康子弁護士は「差別の定義を明確にし、禁止条項を入れる」ことと「被害者の救済」をセットにした条例づくりが望ましいと述べた。ただし、刑事規制が万能なのではなく、包括的規制と啓発も同時に求められると指摘し、人種差別撤廃条約の必要性に言及した。
パネルディスカッションのコーディネーターを務めた権清志朝鮮奨学会代表理事は「民団が中心となって各々の地域でより実効性を持った条例をつくっていこう」と呼びかけた。
(2021.10.24 民団新聞)