掲載日 : [2022-10-20] 照会数 : 5234
地方参政権付与を訴える…民団が国連・日本審査に
[ 民団人権擁護委員会の趙學植委員と李根茁委員長 ]
[ 国連自由権規約委員会日本審査が行われた会場 ]
民団中央本部人権擁護委員会(李根茁委員長)は、10月13、14の両日、スイスのジュネーブで開催された国連自由権規約委員会日本審査に、当事者として同委員会に正しい情報を提供するために李根茁委員長、趙學植委員、民団中央生活局の司空明埈主任の3人を派遣した。民団は永住外国人の地方参政権問題をはじめ、▽民族的または種族的マイノリティとしての権利の否定▽包括的な差別禁止法の不在▽公務就任県の過剰な制限▽ヘイトスピーチおよびヘイトクライム▽関東大震災朝鮮人虐殺を否定する言説まん延と政治家の言説助長-の6項目にわたる日本政府への提言を提出した。
国連自由権規約委員会の日本審査は、2020年に開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で2年間延期となり、日本審査は8年ぶりとなる。民団・人権擁護委員会の派遣も8年ぶりとなった。
今回の日本審査は、2014年8月に示された自由権規約委員会からの「日本国への勧告に対する報告書」をもとに行われ、あわせて23団体のNGO等からのレポートで必要と考えた内容も審査で取り上げた。
同委員会の審査は事前に各国政府が提出する報告書をもとに、18人の審査委員と当該国代表団との間で行われる。これに対して、各国のNGОはその報告書の問題点をレポートにして、事前に審査委員に情報提供することができる。
今回、日本報告審査には、▽永住外国人の地方参政権▽公務就任権▽慰安婦問題▽高齢・障害のある在日コリアンの無年金問題▽ジェンダー平等▽マイノリティの権利▽刑法・刑事訴訟法の改正▽技能実習制度▽プライバシーの権利(ムスリムに対する無差別な監視と情報収集活動)▽思想・信条・表現の自由▽朝鮮学校の高校無償化除外問題▽難民および入管収容など、自由権規約に関連する日本の主な人権施策の取り組みについて報告された。
これらの報告には議長を含む18人の委員らと、日本政府代表団の関係省庁(外務省、法務省、厚労省、警察庁など)の担当者約30人余りと質疑応答が交わされた。
民団の人権擁護委員会では、永住外国人の地方参政権問題をはじめ、▽民族的または種族的マイノリティとしての権利の否定▽包括的な差別禁止法の不在▽公務就任県の過剰な制限▽ヘイトスピーチおよびヘイトクライム▽関東大震災朝鮮人虐殺を否定する言説まん延と政治家の言説助長-の6項目にわたる日本政府への提言を、在日韓国人法曹フォーラムと人権擁護委員会で協議し、約1万字のレポートとして事前に国連に送付している。
日本審査の直前に行われたNGOと自由権規約委員とのブリーフィングでは、限られた発表時間を与えられた趙學植委員が民団が要望する「永住外国人の地方参政権」に関する提言を訴えて国際社会に強くアピールした。あわせて、ヘイトスピーチ、ヘイトクライムの根絶についも委員にアピールした。
日本政府代表団と自由権規約委員との質疑応答では、2人の自由権規約委員から地方参政権と公務就任権に対し、日本政府に質問が向けられた。また、議長からは包括的な差別禁止法の必要性に言及がある等、人権擁護委員会からのレポート内容と事前ブリーフィングでの主張が反映されたとみられる。
前回(2014年7月7月15、16日)、日本の人権状況を審査していた国連自由権規約委員会は、ヘイトスピーチなど人種差別を助長する行為の禁止を求める勧告を発表している。
同年8月20、21日に国連人種差別撤廃委員会が日本政府報告書の審査を行い、同29日に日本政府に対して、在日コリアンらに対するヘイトスピーチ問題に「毅然と対処」し、法律で規制するよう勧告する「最終見解」を公表した。
また、2018年8月16日と17日に行われた国連人種差別撤廃委員会による日本政府審査にも民団の人権擁護委員会から委員3人をジュネーブに派遣し、地方参政権問題について報告した。
国連側は同30日に、日本政府に対してヘイトスピーチなど在日韓国人への差別実態について勧告を出している。