韓日修復に使命感を
共生の底力見せよう…組織力 再強化を怠らず親愛なる在日同胞の皆さん。
第68回光復節と大韓民国の政府樹立65周年を迎えました。私たちは解放と建国の8・15が巡ってくるたびに、東洋の恒久平和を願い、民族の統一・独立・発展と自由・民主主義国家の建設に心身を捧げた先烈に思いを馳せ、その遺志の継承を誓いながら、希望の未来を開く決意を新たにしてきました。
これは、民族儀礼の単なる繰り返しではありませんでした。時代に即した歴史的使命を確認し合うことで、私たちが前向きに生きるための精神的な支柱となってきたのです。
緊張続く東北ア
昨年から険悪になった東北アジア情勢、なかでも韓日間のあつれきは、在日同胞社会をいつになく厳しい試練に直面させています。在日同胞を標的にしたヘイトスピーチ(憎悪表現)のはびこりはその一例に過ぎません。しかし、長い年月をかけて鍛えられた私たちの意志は不変です。むしろ、いっそう力強い光彩を放っていると言えるでしょう。
在日同胞の皆さん。
東北アジアにおける昨今の緊張は、北韓リスクの深刻化、日本や中国の針路への懸念、島嶼領有や歴史認識などに端を発した韓日および日中関係の悪化を主な要因としています。これら主要因のなかで、この地域の安定と発展にとって最大のネックが北韓・平壌政権であることに疑いはありません。私たちは、複雑な絡み合いに幻惑されてはならないのです。
自らの歪んだ体制を南にまで押し広げることを「統一」と称し、民衆の命と人権を紙くずのように扱いながら核兵器の開発に狂奔する平壌政権は、自らが蓄積した不条理によって内部崩壊へのきしみを強めています。核廃絶と改革・開放に進まない限り、周辺国にとって重大な脅威・変数であり続けます。
昨年12月の長距離弾道ミサイル発射、今年2月の第3回核実験の強行によって、国際社会からいっそう厳しい制裁を招いた平壌政権が核戦争危機を煽るだけあおり、ソウル、ワシントンばかりか日本をも精密核打撃の対象にすると公言したのはつい最近のことです。
北韓リスクを解消し、統一を視野に南北が交流・協力関係を築くことは、韓国はもちろん中日両国にも計り知れない利益をもたらします。それだけでなく、東アジアの平和確保と飛躍的な発展を担保し、この地域を世界経済が頼りにする成長センターに押し上げるでしょう。
韓日中3国が個別の利害によって、お互いの豊かな未来を保障する共同利益をないがしろにすることはないでしょう。まして、相手をやたらと敵対視することでいつしか「主敵」にしてしまう「安全保障のジレンマ」に陥ることもないはずです。それを確かなものにするためにも、首脳をはじめとする指導者のコミュニケーション深化を3国に求めてやみません。
焦点は北韓危機
在日同胞の皆さん。
本団は昨年2月に採択した新宣言(第7次)で、「在日同胞を含む全民族の安寧と東アジアの発展には、韓半島の平和定着が絶対条件」であり、「先進統一国家の建設を主導する大韓民国の国力増強は喫緊の課題」との認識を鮮明にしました。さらに、「韓日両国が東アジアの平和と安定のために多分野でいっそう共同すべき」との観点から、「両国の連携深化に向けた架橋的役割」の強化を自らに課しました。
先進統一国家の建設を主導しようとする大韓民国の一貫した強い意志と、それを裏打ちする経済力はすでに、北韓と血盟の関係にある中国を含む関連諸国の厚い信頼を勝ち得るに至りました。ですが、国力とは総合力であり、その核心は国民の結束力にあります。これはまだ盤石とは言えません。
核戦争も辞さないとする恫喝に失敗した平壌政権は、韓国内外のいわゆる従北勢力を動員し、朴槿恵政府を弱体化させるべく総力をあげています。世代で大きく異なる価値観や所得格差が生み出す国内葛藤だけでなく、韓日間のあつれきをも増幅させ、政権基盤を揺さぶろうとしているのです。
私たちはこれを傍観しません。朝鮮総連など日本における従北勢力の影響力を削ぎ落とし、いっそう孤立させるでしょう。四半世紀にわたって連帯してきた海外同胞団体との意思疎通を密にし、世界各地で従北勢力の策動を封鎖せずにはおかないでしょう。本団は在日同胞唯一の求心体として、その自負のもとに統一先進祖国の建設に果敢に参与するものです。
人的基盤活かし
在日同胞の皆さん。
昨年夏から続く韓日間の不協和音は鳴り止むどころか激しくなっています。独島領有問題もさることながら、従軍慰安婦、徴用工など日帝強占期に根を持つ諸問題が歴史認識だけでなく、65年に妥結した韓日会談の請求権協定に対する司法判断をも絡めて再浮上しているところに深刻さがあります。
ドイツとフランスはかつて、血で血を争う宿敵同士でした。それにもかかわらず、領土争いや戦争責任をめぐるいがみ合いを克服し、歴史的な和解を果たしました。今ではEU(欧州連合)をともに引っ張る存在です。何よりも、両国と欧州全域の共同利益を優先したのです。
しかし、この協調関係も自動的に維持されているわけではありません。小さな溝でもすぐ埋める不断の努力があるといいます。一般的に言って、歴史的に因縁が深く現実的な利害を抱える国と国の友好は、ある程度のレベルに到達すればそれで安心できるというものではありません。韓日関係がまさにそうです。
本団は韓日関係が良好なときもそうでないときも、友好善隣の土台を固める草の根運動を続けてきました。私たちが生きる環境を整えるためだけでなく、新宣言が明示するように、韓日の連携こそが東北アジアを核とする東アジアの安定と発展の軸になるとの確信に揺るぎがないからです。
私たちは今後とも、この確信のもとに全力を注ぐでしょう。私たちを共生のパートナーとして認め、韓日関係を後戻りできない次元にまで高めようと心を砕く日本社会の力量は、私たちを排斥しようとするヘイトスピーチ集団のそれよりはるかに大きいのです。
本団の韓日親善や親睦のための各種活動は、地域の共感を呼んで定着しています。私たちは組織あるいは個人で、地域社会をはじめ市民団体や自治体、地方と中央の政界に人的資産とも言うべき深いつながりを築いてきました。心を一つに力を合わせ、韓日の関係を壊れにくいレベルにまで底上げする努力をいっそう強化しましょう。
二本柱を前面に
親愛なる全国の団員皆さん。
当面の困難を克服し未来を開くには、私たち主体側の活力が不可欠です。私は中央団長に就任した昨年2月以来、団員および地域住民と直接触れ合う支部の活性化、組織の若返りと永続性を保障するための次世代育成を組織強化の二本柱としてきました。
私や中央本部幹部による全国の支部訪問・対話集会は、これまでに111カ所を数えています。苦しくとも工夫を凝らして踏ん張る一線幹部たちの姿に感動し、「同胞のためになくてはならない組織だ。必ず守る」との決意に励まされました。秋には全国を3ブロックに分け、全支団長が参加するワークショップを実施します。励まし合い、同志的な連帯を確かめ合う場になるでしょう。
次世代育成事業も引き続き堅調です。中学・高校生および大学生を対象にした母国研修が今年も進行中であり、サッカーやフットサルなどのスポーツ、ウリマルや民俗芸能を学ぶ文化教室を通じてオリニ教育の裾野が広がっています。オリニ事業の参加経験者が後輩の指導に当たるなど、次世代育成が自律的なサイクルを描き始めました。これらにともない、親世代の本団への関心も上向いています。
私はこれからも、全国の幹部・団員の皆さんと手を携え、この二本柱を中心に私たちの持てる力を掘り起こし、その力が明日に向かって結束するよう、全身全霊を傾けるつもりです。
(2013.8.15 民団新聞)