韓国ドラマ「冬のソナタ」のもう一人の立役者、歌手のRyuさんは、日本デビュー10周年を記念するアルバム「Love note」を11日、ZAIN RECORDSから発売した。収録した10曲は、2007年から行っているライブ「JAZZ流」で披露してきた海外の名曲をカバーしたもの。「冬のソナタ」の主題歌「最初から今まで」や「My Memory」で聞かせた心に染みいる歌声は、さらに深みを増している。
日本のファンに感謝込め
カバーアルバム「Love note」には、ナット・キング・コールの往年のヒット曲をはじめ、アンディ・ウィリアムス、ジョン・レノンなどの名曲が収録されている。これらは、「JAZZ流」のライブ公演で披露してきた楽曲のCD化の話を受け、ファンから寄せられたリクエストをもとに選曲した。
今までもアルバム「ユメ―襟を濡らす涙」でなごり雪、少年時代や「おとぐすり」で赤とんぼ、ふるさとなどの曲をカバーしてきた。洋楽カバーの正式アルバムは今回が初めて。
「冬のソナタ」の番組終了後、長い間「『冬ソナ』のRyu」という看板を背負ってきた。「いつも呼ばれて歌うのは、『冬のソナタ』の曲がメーン。新曲も発売されているから1曲、歌わせてもらえないかという思いもあった」。韓国ではドラマがヒットしても、番組が終われば視聴者は次の作品にのめり込む。一方、日本では「冬のソナタ」終了後も、その人気は続いた。両国の文化の違いに気づくまでに数年かかったという。
「JAZZ流」を始めたのは「ボーカリストとしての自分を見てもらいたい、こういう音楽も好きだから聴いてもらいたい」という活動の場が必要だったから。ブラックミュージック以外にもオールドポップスなども好んで歌う。どんな名曲でも再解釈し、アレンジを加える。「歌う曲はカバーではあるけど、30、40%は自分の感性、感覚を入れた新作だと思って歌っている」
料理講座を開く腕前に
先月、Ryuさんは、10周年記念企画の一環として、初の韓国料理レシピ本『Ryuの野菜たっぷり韓国ごはん』(徳間書店、定価1680円・税込)を刊行した。出版は10年に及ぶ日本での活動を応援してくれた日本のファンの人たちに対する恩返しでもあり、料理を通じて「もっと一般の方々に出会って、親しみの気持ちを感じたかった」から。実は料理講座を開くほどの腕前だ。
以前、アトピーになり、手料理の食事に変えたところ改善した。「それまでの食事を反省したり、料理って素敵だと思った」。料理は母親、姉、義姉のレシピに、オリジナルのスタイルを加えた。お薦めの「チャンジョリム」(牛肉のしぐれ煮)は、本書のために初めて作った。生姜を多めに使ったのが彼の工夫だ。
「基本のダシは昆布と煮干し、ときにはタマネギや長ネギの根を入れる。そういう部分は努力したのでアピールできるかな」と笑顔を見せた。 現在も韓国と日本を行き来しながら活動している。「10年も日本で活動できるとは思わなかったけど、全国を回って皆さんの明るい表情や町で声をかけて下さった方々のことは、忘れられない思い出としてあります」
「冬ソナ」に寄せる思い
「冬のソナタ」との出会いは運命だったと話す。「一般の韓国の人たちが経験できないような人生を生きている。いい人たちに出会うチャンスも2倍になった感じ。『冬のソナタ』のおかげ。感謝の気持ちで一杯です」
温かい日本の人たちと共有する時間を過ごして来た一人として今後、「何か韓日友情のために自分の力で頑張れることがあれば、どこでも行く準備はできている」と思いを伝えた。
(2013.9.11 民団新聞)