掲載日 : [2020-04-10] 照会数 : 10782
藤本巧さんに土門拳賞…本紙に「朝鮮通信使」連載中
[ 第39回土門拳賞を受賞した藤本巧さん=3月27日、東京・千代田区(毎日新聞社提供) ] [ 写真集『寡黙な空間 韓国に移住した日本人漁民と花井善吉院長』 ]
写真集「寡黙な空間」日本人移住の漁村とハンセン病医を追う
「写真界の直木賞」と称される「土門拳賞」(毎日新聞社主催、協賛・ニコン、ニコンイメージジャパン、東京工芸大学)の第39回受賞作品に本紙「朝鮮通信使 善隣友好の径路を歩く」連載中の写真家、藤本巧さん(70)の写真集『寡黙な空間 韓国に移住した日本人漁民と花井善吉院長』(工房草土社)が選ばれた。
本写真集は20歳から韓国の風土と人々を撮り続けてきた藤本さんの14冊目の作品。
日本統治時代の韓半島に、瀬戸内海などから移住した日本人漁民たちが暮らした漁村を中心に取材した。彼らの生まれ故郷にも足を運ぶ。
日本人の移住漁村は、慶尚北道にある九龍浦、鬱陵島をはじめ、慶尚南道、全羅南道などの沿岸部。長承浦の入佐村、栗九味の千葉村、美修洞の広島村など、当時の通称名が残る場所もある。
統治時代、日本人によって建てられた日本式家屋など、当時の痕跡も収録されている。
最終章で日本統治下の1916年、ハンセン病治療を名目に全羅南道高興郡の孤島に設立された「小鹿島更生園」で韓国人の民族性を尊重しながら治療にあたった2代目院長、花井善吉さんを取り上げた。
藤本さんは「今写真や映像に収めておかないと、なくなってしまう」と主催者のインタビューに答えている。作品は、山形県酒田市の「土門拳記念館」で永久保存される。
写真集「寡黙な空間」 藤本巧
定価4500円+税。工房草土社(0743・61・5615)、フリーダイヤル(0120・104・916)。
(2020.04.10 民団新聞)