KSJ2014(在日大学生ジャンボリー)の参加者は138人の学生と民団や青年会などの運営スタッフ合わせて150余人。NYC(国立オリンピック青少年総合センター)を宿所に3日間の日程を「Study」「Enjoy」「Culture」のテーマに分けて学び、楽しんだ。
■□
第1日
「夢は実る」先輩ハッパ
初日の「Study Day」は、開会式後に各界で活躍する在日3世の先輩を講師に話を開いた。「Teach For JAPAN」で学習支援事業に従事する東大大学院生の李炯植さん(23)を皮切りに、弁護士の金弘智さん(33)、産業総合研究所の主任研究員でロボット開発・制作会社「ライフロボティクス」の代表、尹祐根さん(42)が、在日として生きてきた体験談を交えながら、数度の挫折を乗り越えて現在の職位に至った経緯などを披露。何事も「必ず夢を実現する」心構えを持ち続けてほしいとアドバイスした。
呉公太民団中央団長は自らの学生時代を振り返りながら、「学生時代の体験こそ人生を決定する財産になる。一人でも多くの同胞仲間とふれあい、将来の同胞社会を担ってほしい」とメッセージ。ヘイトスピーチ問題についてもふれ、「みなさんが安心して生きていける共生社会づくりへ民団は全力で努力していく」と述べた。
日本サムスンの元顧問でエムアイ総研の石田賢さんは、韓国最大の財閥「三星」の歴史やリーダーシップ、経営方針、人事・市場戦略など多分野にわたって日本企業と比較解説した。
真剣な表情で講演に聞き入る参加者 |
李炯植さん |
尹祐根さん |
金弘智さん |
呉公太団長 |
石田賢さん |
■□
第2日
民俗リズムにウズウズ
「Enjoy Day」の2日目は、ボウリング大会、バーベキューのあと、若者に人気のスポット、お台場と東京スカイツリーなどを観光。
ボウリング大会の賞品がソウル往復チケットや人気タブレットとあって、参加者たちも気合い充分。人気番組「Pリーグ」に出演中の韓国人女子プロボウラー、キム・スルギがゲスト参戦し、各レーンでアドバイスしながら一緒にゲーム。同じ大学生世代とあって、参加学生も片言ながらも積極的にウリマルを交えながら話しかけた。
お台場での炭焼きバーベキューは各班毎にテーブルを囲んで共同作業。賑やかな会話が続いた。
大半が関東以外とあって、お台場や初の東京スカイツリー展望は学生も大喜び。展望台では知り合った仲間同士での記念撮影が続いた。
夜は韓国中央会館で立食パーティ後、閔栄治さんのサムルノリ公演。半円のステージと、それを囲む学生たちが一体となって民俗のリズムを楽しんだ。
プロのキム・スルギ(左から2人目)も参戦したボウリング大会では各レーンで交流を広げた |
班別にテーブルを囲むバーベキューでは会話が弾む |
ダイナミックなサムルノリの演奏に大喜び |
間近に見るサムルノリに感動もひとしお |
「Culture Day」の最終日は、元学生会長で、大手放送局勤務の李民和さん(31)と大手広告代理店に就職した柳太漢さんによるOBトーク。学生会時代の思い出話や裏話、民団や在日社会とのつながりの契機などを語りながら、職場の近況を述べ、就活のアドバイスをした。
この後、Kミュージカルスター、イ・ゴンミョンさんとのファンミーティングに続き、在日2世ヴァイオリニストの丁讃宇さん、クラシックギタリスト、朴葵姫さんのライブコンサートを鑑賞。在日として生きてきた体験など、トークを交えた丁さんの演奏、ギター界のトップランナー、朴さんが奏でる郷愁と情熱、正確無比なフレージングとしなやかな奏法に固唾を呑みながら聴き入った。
ミュージカルスターのイ・ゴンミョンのファンミーティングではこんなポーズで記念写真も |
在日2世のヴァイオリニスト丁讃宇さん |
クラシックギタリストの朴葵姫さん |
元学生会長2人によるOBトークでは就活のアドバイスも |
■□
初の民団主催で
「仲間づくり 一生の宝」
これまでKSJは毎年、在日韓国学生会が独自に開催してきたが、今年は民団が主催。次世代育成を重点事業にとらえ規模を拡大、留学生などにも対象を広げた。
閉会式では各班の代表が一言メッセージ。声を揃えたのは、同じ立場の同胞の大学生と知り合えた事だ。
金英知さん(広島)は「民団の行事は初めて。韓国の文化や歴史を知る機会となった。先輩の話はとても勇気がわいた」と満足。朴愛鐸さん(愛知)も「多くの仲間と出会えたことに感謝したい」と声を詰まらせた。
リクレーションや東京スポット観光も好評。
李亜里沙さん(愛知)は「ボウリング大会で違う班の人たちと交流できたのが楽しかった。スカイツリーも最高」と声を弾ませた。姜知雲さん(大阪)も「両親が昔、このような在日のイベントで知りあったことがきっかけで結婚した。もしかしたら、僕らの中からもそんな例が出るかも」と期待を込めていた。
ライブや講演も参加者に大きな印象を与えた。
白沙希さん(宮城)は「ヴァイオリンもギターもすばらしい。でもサムルノリの演奏はもっとすごい。私もチャレンジしてみたい」と意欲的。
留学生の李浩さん(大阪)は「各界で活躍している在日同胞から多くを学んだ。なによりもみんなと知り合えたことが一生の宝」と目を輝かせた。
学生会の李紳地会長は「ここで培った友情をさらに広げるためにも今後も学生会の行事にぜひ参加してほしい」と呼びかけた。
閉会式後、各班がステージで記念写真を撮り合う |
閉会式では各班代表が「絶対また参加したい」 |
(2014.9.10 民団新聞)