掲載日 : [2019-10-02] 照会数 : 6768
「年金生活者支援給付金」在日無年金者を除外
[ 厚生労働省(右)と話しあう市民団体の代表ら ]
市民団体が厚労省に是正要請
1日からの消費税引き上げに伴い、公的年金や所得が一定基準以下の人を対象に10月から「年金生活者支援給付金」制度が始まる。ただし、在日同胞を中心とする制度的無年金者は対象からこぼれ落ちたまま。「年金制度の国籍条項を完全撤廃させる全国連絡会」(李幸宏代表)をはじめとする関係5団体は9月30日、厚生労働省に制度的な無年金者も対象にするよう求めた。話し合いは3月に続き2回目。厚生労働省からは6人が出席した。
「年金生活者支援給付金」を受給できるのは①65歳以上で老齢基礎年金を受けている②請求されている対象者の世帯全員の市町村税が非課税③前年の年金収入金額とその他の所得額の合計が87万9300円以下とした。
年金を受給できていない在日同胞当事者からは「年金受給者でさえさらに苦しくなるというのに、制度的無年金者はそれ以上に苦しくなる」と悲鳴が上がっている。この日、各団体は同額給付の早急な実施を求めた。
これに対して厚生労働者の担当者は「年金生活者に対する支援という考えから法律ができている。この枠組みを飛び越えて支給することは困難だ。今後とも検討します」とだけ回答。交渉に臨んだ団体側からは「消費税は外国人、日本人問わず、すべからく徴収するというのに道理に合うのか」と不満の声が聞かれた。
視覚障碍者の愼英弘さんは「在日外国人を排除するための理屈としか思えない。もっと枠を広げ、無年金者も対象とするべきだ」と強調した。「年金生活者支援給付金」が将来にわたって続くと分かると、「年金制度に加入できなかった人は生涯にわたって差別を受けることになる」と怒りの声も聞こえた。
同席していた在日外国人の人権問題に詳しい田中宏さん(一橋大学名誉教授)は「いつまで『検討』を続けるというのか。無年金の該当者が亡くなっていくのを待っているのか」と疑問を口にした。
有田芳生参議院議員(立憲民主党)も「毎回同じ繰り返しだ。怒りの表明で終わるのは建設的ではない。厚生労働省の皆さんにはこういうことができるのではないかといった肉声で答えてほしい」と注文した。
(2019.10.02 民団新聞)