掲載日 : [2019-05-22] 照会数 : 7312
土曜セミナー 中塚明さん講演「優越感・差別感は歴史の無知から」
[ 講演する中塚明さん ]
清算されていない植民地史観
奈良女子大学名誉教授の中塚明さんが11日、在日韓人歴史資料館(李成市館長)の第117回「土曜セミナー」で「優越感・差別感は歴史の無知から」と題して講演した。この日の参加希望者は主催者の予想を上回る135人を数えたため、会場はセミナー室から韓国中央会館8階大ホールに変わった。
中塚さんは「明治以降の日本が朝鮮半島を植民地化した、そういう時代の歴史感覚が第2次世界大戦後も清算されないできている。日本が国民にきちんとした歴史を教えないできたからだ」と指摘。「明治は栄光の時代」という見方にも反論した。
「『徴用工』や『慰安婦』問題などでは日本政府の言っていることだけが正しいと信じ、韓国の言い分は間違っているという韓国蔑視の見方が世の中に広がっている。日本が過去、朝鮮になにをしたのかをきちんと知らないからだ。知っていれば、もう少し違った言いようがあるだろう」と疑問を投げかけた。
中塚さんは日本近代史が専門。特に近代の日朝関係の歴史を主に研究している。1961年、国立国会図書館で第一次史料「陸奥宗光関係文書」にあたり、日清戦争がどういう戦争だったのかを明らかにした。94年には福島県立図書館『佐藤文庫』で「日清戦史草案」と出会い、さらに研究を深めてきた。「土曜セミナー」ではかつて、「司馬遼太郎の歴史観をただす」と題して講演したことがある。
(2019.05.22 民団新聞)