掲載日 : [2021-03-17] 照会数 : 4856
「歴史修正主義との闘い」「群馬の森」追悼碑訴訟が結審…東京高裁
戦時中の労務動員で亡くなった韓国・朝鮮人追悼碑の撤去を求める群馬県とこれに異を唱え、碑の存続を求めている市民団体の間で7年間にわたって争われてきた控訴審の第6回口頭弁論が9日、東京高裁で開かれ、結審した。判決は8月26日に言い渡される。
追悼碑の名称は「記憶 反省 そして友好」。当時の「追悼碑を建てる会」(現「守る会」)と県が時間をかけて協議し、その合意に基づいて04年4月22日に県立公園「群馬の森」で除幕した。その後、碑の前で毎年行われる追悼式で参列者が何度か「強制連行」という言葉を使ったことが伝えられるや、一部右翼団体や歴史修正主義者が県に対して攻撃を繰り返してきた。県もこうした排外的な勢力に同調し、碑の設置期間の更新を認めない処分をした。
一審前橋地裁は県の不許可処分を「社会通念に照らし著しく妥当性を欠く」として取り消した。一方、「強制連行」という言葉を使用した集会が政治的行事に該当するという県の主張も認めたため、「守る会」が「『強制連行』は歴史学的にも確立した用語。納得できない」と反発していた。
報告集会で「守る会」弁護団の角田義一弁護団長は「追悼碑を残そうということであれば、県とも話し合えるのに出ていけは乱暴すぎる。執行猶予なしの死刑判決にも等しい。一審判決維持を信じている。もし、負けさせようと思えばノイローゼになって判決を書けないだろう」と述べた。
集会に参加したノンフィクションライターで『ネットと愛国』の著者、安田浩一さんは「この裁判は差別・排外主義を露わにした歴史修正主義との闘い」と位置づけた。
(2021.03.17 民団新聞)