掲載日 : [2006-11-01] 照会数 : 7557
<羅鍾一大使の激励辞>自立基盤造成が緊要
尊敬する鄭進団長をはじめ三機関長、並びに全国の地方団長、中央傘下団体長の皆様。
本年をもって創立60周年を迎えた民団は、多くの困難を経ながら、これからまた新たに生まれ変わらなければならない課題を抱えています。本年2月に発足した民団指導部は、総連との5・17共同声明の推進とその後の事態により退陣し、9月21日に鄭進団長率いる新指導部が発足することとなりました。
私が前回の全国地方団長及び中央傘下団体長会議において、民団幹部の方々が「改革民団」のタスキをかけて団結した姿を見ながら在日同胞の大きな潜在力を感じると申し上げたのは、わずか6カ月前のことです。
そして、民団が混乱の渦中にあった6月に開催された臨時地方団長会議に際して、民団内部の葛藤と対立が早期に鎮静されなければならないと格別にお願い申し上げたこともございます。私は、これまで5カ月にわたって続いた民団の混乱に対し、大きな心配を禁じ得ませんでした。
本日の全国団長及び中央傘下団体長会議が、今後民団がこれまでの傷跡を早期に回復させ、在日同胞社会の和合と発展に向けた真の奉仕団体へと生まれ変わる契機となることを期待致します。
親愛なる同胞指導者の皆様。
皆様もよくご承知の通り、私はこれまで駐日大使として2年半にわたり、本国と日本政府に対して在日同胞社会を代弁すると共に、在日同胞社会の権益保護を大変重視し、そのために同胞社会の代表団体である民団に配慮し支援する仕事に多くの力を注いで参りました。
皆様も切実に感じていらっしゃることと思いますが、在日同胞社会は急激な世代交代を経て民族的・文化的なアイデンティティーが弱まり、同胞人口が毎年速い速度で減少し、同胞社会の存続自体が危ぶまれる状況に至っています。
先週、民団新聞韓国版を拝見したところ、「換骨奪胎」という表現が際立って見えました。正しい指摘であると思います。今こそ、民団が創立精神に立ちかえり、新たな覚悟を持って「換骨奪胎」することで、同胞社会全体と一般団員の為に私心なく仕事をする奉仕団体に変わらなければならない時であります。
そうして初めて、民団は時が経つにつれて離れていく3〜4世代の関心と自発的な参加を導き出すことができ、在日同胞社会を代表する組織として内外から認められると思います。
そのためには、同胞社会内部の健全な批判に耳を傾け、過去のような過度の本国政治志向と政府補助金への依存体質から脱し、自らの能力で自立して同胞社会の要求を積極的に受け入れる透明性のある組織を作るために努力しなければなりません。
地方団員の団費や同胞有志の賛助金は、民団の活動に対する同胞社会の期待と愛着から生まれる大切な財源です。従って、民団の活性化に向けて本国政府の補助金だけでなく、団費や賛助金も含む民団のあらゆる予算を、透明性を持って執行して公開することを通じ、同胞社会の共感と信頼を確保することが何よりも重要な課題であります。
また、組織運営に関する健全な討論と批判、一部の未熟な点に対する謙虚な反省、決定事項には承服して和合する度量を通じて成熟した民主主義の力量を示した時、民団組織は3〜4世代まで維持・継承されるでしょうし、一般の同胞社会はもちろんのこと、日本社会からも尊重されると思います。
親愛なる同胞指導者の皆様。
北韓の核実験に対する我が同胞社会の怒りと懸念が大変大きいことと承知しております。韓半島の平和と安定は、我々にとって絶対的な目標であります。本国政府は、いかなる場合でも北の核は容認できないとの立場から、国連安保理決議を尊重しつつ、北の核問題を平和的に解決することに総力を傾けております。
最後になりますが、本日の会議を機に、これまでの内部の葛藤が完全に終結し、鄭進団長を中心に和合・団結する民団の底力を示して下さることを重ねてお願い申し上げます。
民団の発展と共に、同胞指導者の皆様方のご健勝を祈念致します。
(2006.11.1 民団新聞)