掲載日 : [2022-02-02] 照会数 : 2298
国内人権機関設置を…日弁連白承豪実現委員がオンラインシンポで報告
名古屋入管で女性死亡…「事件は氷山の一角」

日本弁護士連合会は1月25日、オンライン形式のシンポを開催し、あらゆる差別や人権侵害からの救済と人権保障を促進するための独立した国の機関を設置するよう求めた。
シンポは名古屋市にある入管施設に半年余りにわたって収容されていたスリランカ国籍の女性が2021年3月に死亡したことが明るみになったため。内部調査では被害者の死因すら特定できていない。
被害者遺族代理人の駒井知会弁護士は基調講演で「事件は氷山の一角。これを最後の犠牲者としなければならない」と事件の根絶を訴えた。同支援団体の千種朋恵氏は、「スリランカに帰れば殺される」と主張していた被害者の生命と人権を守るより「帰らせる」ことにこだわった入管側の硬直した対応が今回の悲劇を生んだと指摘した。
日弁連からは国内人権機関実現委員会委員の白承豪弁護士(兵庫県弁護士会)が国内人権機関の性格と機能について報告した。ポイントは国家機関であること、予算や人事権などで独立性を有していることだ。裁判は時間がかかり、事後的解決方法でしかないとその限界性を指摘した。
駒井弁護士は「政府から独立していないと、死因すら調査できない。問題点を白日のもとに出すのは国内人権機関しかできない」と主張。白弁護士も内部調査の限界を指摘しながら「制度的独立性、客観性が担保されていなければ第三者機関としての役割を果しえない」と強調した。
世界では110を超える国と地域で設置している。
(2022.02.02 民団新聞)