掲載日 : [2022-04-18] 照会数 : 2511
DHCの人権侵害認定、日弁連が警告書 在日排除呼びかけ「危険、かつ悪質」
在日同胞へのいわれなき差別と偏見を扇動したとして、日本弁護士連合会が大手化粧品会社の株式会社ディーエイチシー(DHC、東京都港区)と同社の吉田嘉明代表取締役会長に対して「警告書」を出していたことがわかった。「警告書」そのものに法的拘束力はないが、「要望等」、「勧告」を超えて日弁連としては最も重い措置にあたる。
調査報告書によれば、吉田会長は2020年11月、同社が運営するウェブサイト上に競合する企業名を挙げ、「サントリーのCMに起用されているタレントはどういうわけかほぼ全員がコリアン系の日本人」となんの根拠もなく断定し、同社を在日同胞への差別文言・別称である「チョン」を使って「チョントリー」と揶揄する声明を出していた。一方で「純粋日本人を起用している自社は優秀」と、意図的に在日を日本人の下位に置いた。
また、「(政界、マスコミ、法曹界、官僚、芸能界、スポーツ界といった)日本の中枢を担っている人たちの大半が今やコリアン系で占められているのは、日本国にとって非常に危険なこと」「似非日本人はいりません。母国に帰っていただきましょう」などとする「メッセージ」を掲載していた。
日弁連は憲法13条で保障された出自を理由に差別され、社会から排除されることのない、平穏に生活する権利を侵害していること。また、憲法14条に基づく平等権保障の趣旨にも反し、人格権侵害にあたるとした。
結論として「在日コリアンなどに対する差別的意識は強固」「不安をあおり社会からの排除を呼び掛けていて、危険かつ悪質」として吉田会長に差別的言動の再発防止、会社には同社が製作・運営する各種媒体に掲載しないよう求めた。警告書は3月28日付だった。
謝罪と「総括」を要請…申し立てのNPO法人…取引先にも働きかけ
【大阪】日弁連に人権救済を申し立てていたNPO法人「多民族共生人権教育センター」(大阪市)は8日、大阪市内で記者会見し、あらためてDHCに在日同胞への謝罪と経緯の総括を求めた。
同センターの文公輝事務局長は日弁連の「警告」措置を評価。一方、DHCの対応が問題の文章の削除にとどまり、同社の製品が依然として小売店などで販売され続けていることには疑問を投げかけ、取引先企業にもDHCに謝罪を働きかけるよう求めた。
同じく宋貞智副理事長も「差別の扇動が共生社会や民主主義を一つずつ壊していっているんだということを多くの日本の皆様に理解して意識していただきたい」と呼びかけた。
(2022.04.15 民団新聞)