掲載日 : [2020-03-11] 照会数 : 8216
在日ゆかりの地に銘板設置…丹波篠山市
[ 殉職者3人の名前を刻んだ慰霊碑 ] [ お披露目された銘板と司会担当の細見和之代表(左) ]
解放直後に鉱山で殉職、地元で慰霊碑建て弔う
市民団体「ともに地域支えた証し」
【兵庫】市民団体「篠山市在日コリアン足跡調査研究・銘板設置の会」(代表=細見和之京都大学教授)は3日、在日の鉱夫3人の名前を刻んだ慰霊碑の建つ玄渓山豊林寺(丹波篠山市福井)の境内に「ともに地域支えた証し」として銘板を設置した。同会は市人権・同和教育研究協議会とともに市内の在日ゆかりの地に銘板設置を進めている。これが7カ所目。
銘板は縦60㌢、横80㌢。在日の鉱夫3人が1948年3月3日、「村雲村鳥山鉱山」での落岩事故で殉職したことを記した。慰霊碑を誰が建立したのかは不明ながら、地域の檀家の人々によって弔われてきた。鉱山事故で亡くなった在日をまつる慰霊碑が見つかるのは全国的にも珍しく、貴重な記念碑となっていると意義を強調している。
慰霊碑は高さ1㍍の石柱。寺の裏山に建てられていたのを豊林寺の先代住職がさまざまな供養塔とともに境内に安置していた。左側面に「為鳥山鉱山殉職者之霊菩提」、正面には「南無観世音大菩薩」、右側面には「殉職者名 金本容鎬 上野三郎 武田三童」と刻まれている。18年に碑を発見した「銘板設置の会」は当時の地元紙の報道記事から日本風の名前ながら3人とも在日だと突き止めた。
同会によれば「鳥山鉱山」は丹波篠山市にあった珪石鉱山。戦前から戦後にかけて鉱山事業が盛んで、近隣の農家の人々と一緒に在日も多く働いていた。同寺の北野諦圓住職(47)や檀家たちは昨年4月、慰霊碑をまつるため石柱の周囲に巻き石を整備した。
地元紙の報道によれば北野住職は「『自分も鉱山で働いていた』『事故で救助にあたった』と話す住民もおり、鉱山やそこで働く在日コリアンとの交流は生活の一部だったのでは」と語ったという。
細見代表は「日韓関係が悪化しているが、在日コリアンと日本人が、ときには一緒に、当時の花形産業であった鉱山を支えていたこと、その印として碑があることを考えてほしい」と話している。
同会では引き続き銘板設置寄付金(1口1000円から)を呼びかけている。郵貯口座記号14380 番号83377901 銘板設置の会。問い合わせは篠山市同教(079・593・1260)。
(2020.03.11 民団新聞)