掲載日 : [2020-10-20] 照会数 : 5789
「実効性ある運用を」川崎市人権条例に注文…市民ネット
【神奈川】全国で初めてヘイトスピーチに刑事罰を科すことを盛り込んだ「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」をあざ笑うかのごとくヘイト街宣が止まない。
市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」の調べでは施行後、7回もヘイト街宣が確認された。このうち2回は7月1日に完全施行された後に事前告知のうえで行われた。ヘイトスピーチ問題に詳しい師岡康子弁護士は12日、かわさき市民ネットが主催した「学習会」で「条例は優れている。どう活用していくかの問題」と実効性のある運用を呼びかけた。
たとえば、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の禁止」を定めた第12条だ。師岡弁護士は「市の担当職員が刑事規制にのみとらわれており、『表現の自由』を前に委縮している。本来の趣旨はヘイトスピーチに連なる土壌をなくしていくことなのに、教育、啓発の義務を果たしていない」と述べ、研修と運用の見直しを求めた。
併せて、条例のもう一つの柱となるネット対策にも苦言。市のネットモニタリングによる削除要請が1件も出ていないことには「条例の本来の目的に沿った運用ができていない」「改善の余地がある」と指摘した。
(2020.10.19 民団新聞)