掲載日 : [2021-11-26] 照会数 : 2450
金達寿氏の業績に学ぼう…横浜総領事館が「韓日文化交流会」
[ 呉文子さんによる講演 ]
【神奈川】『日本のなかの朝鮮文化』シリーズなどを通じて韓日間の相互理解を訴え続けてきた在日1世の作家、金達寿氏の業績を振り返る「韓日文化交流会」が13日、横浜市の神奈川県立近代文学館であった。同文学館が今春に企画した生誕100年展を受けて駐横浜韓国総領事館が主催した。
金達寿氏は生涯、「日本と朝鮮との人間的な関係」を希求。作品を通じ朝鮮、および朝鮮人に対する日本人の偏見や蔑視の払拭・是正に努めた。これは、「共通の人間的真実」が書かれているものならば朝鮮人と体験を共有していない日本人にも通じるとの信念からだった。
金達寿氏研究の第一人者として知られる廣瀬陽一さん(日本学術振興会特別研究員PD)は第1部講演のなかで「60年代に在日朝鮮人文学という新たな文学ジャンルを確立した」と業績を振り返った。
70年代からは日本各地の文化遺跡を探訪し、「日本の古代史が朝鮮との関係を抜きにしては考えられない」ことを実証。シリーズ『日本の中の朝鮮文化』は郷土史家やアマチュアの古代史愛好家たちから反響を呼んだ。
また、「帰化人」に代えて「渡来人」という語の普及と定着にも大きく寄与した。
冒頭、尹喜粲総領事は主催者あいさつで「この韓日文化交流会を未来の韓日関係のあるべき姿を考える場にしたい」と述べた。
第2部では在日2世のエッセイスト、呉文子さんが「季刊『三千里』創刊前後の金達寿先生‐思い出すままに」と題して講演した。
(2021.10.24 民団新聞)