掲載日 : [2021-11-26] 照会数 : 2943
常設型住民投票条例案、定住外国人も日本人同等に…東京・武蔵野市が提案
[ 松下玲子武蔵野市長(写真=松下市長の公式サイトより) ]
東京都武蔵野市(松下玲子市長)は19日開会の定例市議会に18歳以上の定住外国人の投票を可能とする常設型の住民投票制度を創設する条例案を提案した。定住外国人のカテゴリーには技能実習生や留学生なども含む。外国人が住民投票に参加できる自治体は全国で40自治体ほどあるが、日本人と同条件で投票資格が与えられるのは全国的にも珍しいという。都内では初めて。
松下市長は19日、第4回定例会で今後4年間の施政方針演説に立った。このうち、「基本政策」の6番目に「市民自治のさらなる推進」を置き、投票資格者に外国籍住民を含めた常設型の住民投票条例の創設を提案した。
「住民投票条例(仮称)素案」によれば、「『多様性を認め合う支え合いのまちづくり』を推進するためには、同じコミュニティの中で共に生活している外国籍の方にも意見を表明していただく必要があります」としている。
住民基本台帳に3カ月以上登録されている18歳以上の市民であれば、外国籍でも投票に参加できる。同じく常設型の住民投票条例がある自治体でも永住外国人に限定したり、「国内で在留資格を持ってから3年以上」などの要件をつけているだけに、武蔵野市の先駆性が際立っている。
市民の反応といえば賛成が73・2%、反対が20・5%だった。ちなみに同市の住民自治のルールを定めた自治基本条例では「市民」の要件に国籍の要素はない。可決されれば、22年度中に施行される。住民投票に法的拘束力はない。
未来型、大きな1歩…朴一・大阪市立大学大学院教授
武蔵野市はこれまでの永住外国人というカテゴリーに留学生や技能実習生も加え、外国籍住民の枠組みを広げた。未来型の新しい住民投票のあり方を示してくれたという意味で大きな一歩を踏み出したといえる。
当然ながら「外国人参政権」と反発する人もいると思う。現に昨年の大阪都構想をめぐっては松井一郎大阪市長が「(日本)国籍を取得して参加してもらいたい」とあらためて発言し、一部日本人のナショナリズムに火をつけた。
今後もこの2つの潮流が続くことだろう。最近は「グローカリゼーション」が叫ばれ、世界中に拠点を置く大企業の多くが企業戦略の一つとして取り入れているほど。
すなわち、どんなに優秀な技術やサービスを提供しても国や地域のニーズに応えていくことが求められている。自治体も同じだ。少子高齢化が進むなか、松下さんのような取り組みをする町こそが将来的に生き残っていくのではないか。
(2021.10.24 民団新聞)