掲載日 : [2019-11-15] 照会数 : 6289
浅草と対馬で韓日友好へスクラム…朝鮮通信使「世界遺産」登録記念
[ 客席から飛び入り参加し、釜山芸術団の曲芸を体験する女性 ] [ 「誠信交隣」の精神を呼びかける韓日の関係者(対馬) ]
「朝鮮通信使に関する記録」が「ユネスコ世界の記憶」(世界記憶遺産)に登録されてから10月30日で2年。これを期して民間レベルの交流を活発化させ、政治的葛藤と反目を乗り越えていこうと呼びかける動きが東京・浅草と長崎・対馬であった。
◆浅草…民間6団体で実行委 釜山芸術団招請公演
「朝鮮通信使・世界記憶遺産登録記念事業実行委員会」(丸山眞司実行委員長=協同組合浅草商店連合会理事長)は民間の力で韓日友好親善を推し進めようと8日、東京・台東区の浅草で「韓国伝統芸能の夕べ」を開催した。実行委員会は浅草商店連合会のほか、東京日韓親善協会連合会(保坂三蔵会長)、民団東京本部(李壽源団長)など韓日6団体で構成した。
江戸時代、朝鮮通信使は4度、浅草の東本願寺に宿泊しており、地元とはゆかりが深い。韓日相互の各種交流事業が見直されている中、冷え込んだ関係をなんとかしたいという韓日の関係者の強い思いがイベント開催につながった。
実行委員長を務めた丸山理事長は「様々な課題もあるが、朝鮮通信使のように平和のため民間の日韓友好を進めたい」と語った。東京日韓親善協会連合会の保坂会長は「この難しい時期に各方面からの協力を得られるか不安だった」と、開催実現にほっとしていた。
民団東京本部の李団長は「今後の韓日関係が良好に進んでいくことを期待する」と述べた。
会場には300人の定員を上回る約400人が来場し、釜山芸術団の韓国伝統芸能に熱い声援を送っていた。観客からは「こういった事業が市民交流をもっと活発にさせるいい機会になる」と歓迎する声が聞かれた。
◆対馬…登録推進メンバーが「対馬宣言」共同発表
【長崎】ユネスコ「世界の記憶」登録を推進してきた韓日両国の主要メンバー4人は10月30日、対馬市で善隣友好を呼び掛ける「対馬宣言」を発表した。
この4人は日本側の推推部会長を務めた松原一征氏(74、朝鮮通信使縁地連絡協議会理事長)と当時の学術委員長だった仲尾宏氏(83、京都造形芸術大客員教授)、韓国側の推進委員会共同委員長だった南松佑氏(66、元釜山文化財団代表理事)と韓国学術委員長だった姜南周氏(80、釜慶大元総長)。
4人が署名した宣言では「このような時にこそ両国の人々が活発に往来し、『誠信交隣』の精神を実践することが重要。その積み重ねが根強く残る両国間の政治的葛藤と反目を解消する」と訴えた。松原氏は「7月から日韓関係が泥沼のようになっていく中、何かできることはないか」と、長年の友人である姜氏に相談し、練り上げたものだと明かした。
記者会見で姜氏は、対馬は朝鮮通信使が日本に上陸した最初の地であったことを挙げ、「両国の中間に位置する対馬が役割を果たすことが重要」と指摘。仲尾氏は第2次大戦で敵同士だったドイツとフランスが戦後、姉妹都市縁組などを通して関係修復した例を示し、自治体や個人間での交流の大切さを強調した。
(2019.11.15 民団新聞)