掲載日 : [2018-09-12] 照会数 : 6850
関東大震災95年、同胞追悼・慰霊式典各地で
[ 慰霊碑の前で焼香する民団神奈川の役員 ] [ 八千代での慰霊祭 ] [ 追悼の言葉を代読する民団埼玉・県北支部の李峰明監察委員長(本庄市) ]
民団…歴史の教訓を韓日友好へ/事件を記憶し次代に継承…市民団体
関東大震災(1923年9月1日)による未曽有の混乱の中で数千人の同胞が殺害されてから95年。民団は過去の歴史を教訓に韓日友好に結び付けようと呼びかけ、市民団体は忌まわしい事件を記憶し、次代に継承していくと誓いあった。
◆民団神奈川、慰霊碑前で焼香
民団神奈川本部(李順載団長)は1日、横浜市南区の宝生寺境内に建つ碑の前で「関東大震災犠牲者同胞慰霊祭」を営んだ。今年で95回目。民団関係者を中心に40人が参列し、焼香した。
李団長は「私たちは日本に永住する韓国人としてこれからも両国の友好と信頼増幅に向けた『懸け橋』としての役割を果たしていく。ここに眠るわが同胞たちも、共に手を取り合う姿を夢見ていることでしょう」とあいさつした。
宝生寺では横浜市在住の社会事業家、李誠七氏が震災から1年が経過した1924年9月1日、住職に申し入れ、犠牲者の追悼法要の会を行ったのが始まり。
◆民団埼玉・県内3カ所回る
埼玉県では1日、本庄と上里、熊谷の各市・町の主催で慰霊祭・追悼式が順次営まれた。民団埼玉本部から田虓玔団長をはじめとする関係者80人が参列した。
民団県北支部(朴利明支団長)を代表、李峰明監察委員長が3カ所で朴支団長の追悼の言葉を代読。「過去の不幸であった歴史の誤りを教訓として、両国と両国民が未来に向けた確固とした友好関係を構築する契機に」と述べた。
熊谷市の追悼式では富岡清市長が「暗い過去への厳粛な反省のうえにたち、再びこのような惨禍が起こることのないよう、また、最愛の肉親を奪われた同胞の方々の悲痛な思いを決して風化させてはならない」と決意を新たにした。埼玉では群馬方面に逃れようとした同胞が、本庄、上里、熊谷の各地で警戒していた自警団と群衆に襲われた。
◆民団船橋・祭壇設けて献花
民団千葉・船橋支部(張恒星支団長)は1日、同支部で「追悼式」を営んだ。はじめに張支団長が犠牲者の冥福を祈って祭壇に献花し、追悼辞を読み上げた。この後、民団千葉本部の金鎭得団長、婦人会千葉本部の崔英子会長、千葉韓国教育院の韓相美院長、各支部の支団長らが順次、献花していった。大震災で通信網が途絶したなか、千葉県の海軍東京無線電信所船橋送信所は流言飛語を全国に伝えた。
◆荒川河川敷・市民ら300人
東京・墨田区の荒川河川敷、木根川橋下手でも8日、市民団体主催の追悼式が行われた。在日2世のミュージシャン、朴保さんが追悼歌をささげた。ロック調に編曲された「鳳仙花」「イムジン河」に市民300人が耳を傾けた。韓国から来日した遺族2人も参列。「虐殺の事実を隠さないで」と訴えた。
最後に関係者約20人がプンムルを披露。参加者も自ら輪の中に入り、一緒になって舞い踊った。現場は木根川橋から約100㍍上流、木造の四ツ木橋がかかっていたあたり。墨田区から四ツ木橋を渡って葛飾区方面に逃れようとした被災民が自警団の襲撃にあった。
◆千葉県八千代市・地域住民合同で
千葉県八千代市の高津山観音寺でも9日、「慰霊祭」(高津山観音寺・萱田山長福寺・高津区特別委員会・千葉県における関東大震災と朝鮮人犠牲者追悼調査実行委員会共催)が営まれた。在日同胞や地域住民ら約100人が参列し、「関東大震災朝鮮人犠牲者慰霊の碑」の前で焼香した。
実行委員会の吉川清代表は「われわれは日本が引き起こした不幸な歴史を2度と繰り返すことがないよう、そして犠牲者の思いが多くの人々の中に広がっていくように努力していかなければならない」と述べた。
(2018.09.12 民団新聞)