掲載日 : [2022-07-22] 照会数 : 2410
秩父にムクゲ10万本咲く…在日1世遺産、開園から20年
[ 山の斜面を彩るムクゲと長谷川信枝さん(左) ]
秩父郡皆野町 ひと山まるごと自然公園
【埼玉】民営のひと山まるごと使った自然公園「リトリートフィールドMahora稲穂山」(旧称「四季の里 ムクゲ自然公園」、秩父郡皆野町)で約10万本のムクゲがまもなく見ごろを迎える。
品種は約40種。秩父盆地を北から南方面に向けて一望できる稲穂山の斜面に色とりどりの花をつける。なかには紫色の「紫玉」、白い花の中心に鮮やかな赤い色が入った「宗旦(そうたん)」といった希少種も。最盛期は8月10日前後と見込まれている。
ムクゲのほかにも2月には幻の福寿草ともいわれるオレンジ色の「秩父紅」が雪の合間をかきわけてひょっこり顔を出す。次にヤマザクラ、秋はヒガンバナ、冬はロウバイと四季折々の花が訪れる人を楽しませてくれる。いまは夜露に濡れたアジサイが美しい。
開園は2002年4月。「花咲爺さん」こと在日同胞1世の尹柄道さんが地元皆野町の観光名所にしようと、約30㌶の稲穂山を丸ごと買い取り、長い年月をかけて整備した。地元では「ムクゲ自然公園」の名称で親しまれてきた。
尹さん亡きあとは子女の長谷川信枝さんが遺志を継ぎ、オーナーとして元旦の1日だけを除いて毎日、山に入って間伐、伐採整備を行っている。長谷川さんは「父は豊かな自然環境をことのほか大事にしてきた。この生態系を守っていくのは私の使命だと思っている」と語った。
20年春には秩父盆地を一望できる約600㍍近い山頂に展望エリアを開設した。気象条件が整えば雲海も見られる。特設の「絶景ブランコ」にゆられながらパノラマを楽しむのは格別だ。
このほか、「大人のためのキャンプ場」、「里カフェ」(金・土・日・月)などを設け、21年1月30日に現在の名称でリニューアルオープンした。入口の体験工房では若い世代向けに草木染め、アロマ講習会、季節の里山料理教室、森ヨガなども行っている。
9~16時30分、火曜日休園。「環境整備協力金」として入園料500円(中学生以上)が必要。埼玉県秩父郡皆野町皆野4048‐1。問い合わせは0494・62・1688。
(2022.07.20 民団新聞)