掲載日 : [2022-08-16] 照会数 : 2454
「任用差別の是正を」在日同胞教員が中央省庁交渉で訴え
教員採用試験に合格しても「期限の定めを附さない常勤講師」として主任にすらなれない。公権力を行使するからだという。これが外国籍者が採用された時の身分だ。国連人種差別撤廃委員会からは数世代にわたり日本に在留する在日韓国・朝鮮人の現状に合わないとして是正勧告がなされている。
当該の在日同胞教員が5つの支援団体とともに5日、参議院議員会館で文科省・外務省交渉に臨み、任用差別の是正を訴えた。中央省庁交渉は2019年8月2日以来3年ぶり4回目。
東京都板橋区の中学校で10年余り社会科を担当している在日教員は教諭採用ながら「当然の法理」のため管理職任用試験を受けられない。心の中の葛藤を次のように述べた。
「差別はいけないと言いながら、子どもたちに嘘を教えている。これは絶対にやってはいけないこと。子どもたちに示しのつかないことを国でやってきている。常勤講師っていったいなんなんだ。もういいかげんにやめたほうがいい」
大阪市教委も採用は教諭ながら現実は「指導専任」の但し書き付き。小学校6年生を担当している在日の女性教員は「同僚の仲間は指導主事、教頭にチャレンジしていくのに、自分は主任にすらなれない。不公平感は増すばかり」と不満を訴えた。
神戸市立中学校に勤務する在日教員はあと3年で定年。「採用時にこのおかしな制度も5年、10年でなくなると思っていたら、いつのまにか30年が経過した。そろそろ決着を付けないことには」と嘆いた。
「横浜市職員採用における国籍条項撤廃をめざす連絡会」の大石文雄さんは「どっかでおかしいという声が高まっていけば世の中を動かしていける。黙っていては変わらない」と話していた。