掲載日 : [2018-07-11] 照会数 : 8847
合併効果などで全組合が黒字…韓信協会員組合2017年度業績
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韓信協(在日韓国人信用組合協会=呉龍夫会長)の会員4組合と近畿産業信用組合の総代会が6月中に開催された。韓信協がまとめた会員4組合の2017年度業績によると、2年連続で赤字だった岡山商銀が横浜幸銀と合併したこともあり、4年ぶりに全会員組合が黒字決算となった。15年ぶりに全組合黒字決算した2014年以後、マイナス金利政策などの影響でここ4年間厳しさが続いていた。
韓信協の総預金は前期比844億5700万円増え、9214億7800万円と1兆円に近づいた。貸出金も740億4500万円増の6702億3000万円とした。平均預貸率は72・73%で71・23%の前期から1・50ポイント上昇した。
預金では横浜幸銀が前期比で13%台、あすかも11%台の高い伸び率を見せたのに対し、愛知商銀も7%近くまで伸びた。広島商銀は0・6%の微増だった。純利益では横浜幸銀とあすかが10億円以上を計上し、愛知商銀も約7億円、広島商銀は1億7100万円とし2年連続で黒字となった。
配当率はあすかが2%、愛知商銀、広島商銀が1%と前年水準を維持し、合併した横浜幸銀は1・05%とした。自己資本比率は横浜幸銀9・40%、あすか8・94%、愛知商銀8・40%、広島商銀7・12%といずれも安定を見せた。
◆横浜幸銀…純利益大幅に増える
横浜幸銀信用組合(呉龍夫理事長。本店・横浜市、第2期)は26日、横浜市内のホテルで総代126人中102人(委任状65)。
一昨年の九州幸銀との合併に続き、昨年度に岡山商銀と合併したことで、さらに広範囲地域で収益基盤を拡大。「合併記念定期」をはじめ、「いつでも満期」「ファースト定期」「ベストパートナー定期」「子育て」など、各種キャンペーン定期預金商品の好評によって、預金は前期比487億7000万円増の4068億7800万円となった。貸出金も中小規模事業者への積極的な融資拡大で509億6300万円増の3038億1700万円とした。預貸率は4・06%上昇の74・67%。自己資本比率は9・40%とし、昨年に続き国内基準(4%)を大きく上回った。これによって純利益も前期比4億3700万円増の11億5300万円となった。配当率は前期と同じ1%とした。
呉理事長は「非常に良い業績を残せた。今後も地域に密着した金融機関を目指し、役職員一丸となり努力していく。経営効率化、信用リスク管理の強化とともに営業地域の拡大と規模の拡大など、スケールメリットを最大限に活かし、一層強固な収益基盤構築に努めていきたい」と今期の抱負を語った。
◆あすか…定期商品が人気呼ぶ
あすか信用組合(金哲也理事長。本店・東京都、第52期)は22日、東京都内のホテルで総代107人中89人(委任状47)。
継続して、特別金利定期預金の「あおば」と60歳以上限定の「シルバー定期」、組合員限定の「プラチナ定期」が根強い人気を続け、さらに短期に有利な「いつでも満期」で好調さを見せ、預金は前期比288億4900万円増の2757億2500万円となった。
貸出金は5年前から商品化した不動産担保ローンなどの融資商品を、インターネット広告の強化などで積極販売し、140億4900万円増の1925億9600万円。預貸率は69・85%と2・47%下回った。
純利益は市場金利のさらなる低下により、前年より1億円増の12億100万円となった。自己資本比率は昨年12月の優先出資発行もあり8・94%と前期比2・10%上昇した。出資配当は前期と同じ2%。
金理事長は「新3カ年中期経営計画の2年目となる今期は、引き続き顧客拡大を図りながら経営基盤増強へのリスク管理態勢強化、人材活性化、業務簡素・効率化を基本戦略とし、成長と基盤を固め、地域金融機関としての使命を図っていきたい」と述べた。
◆広島商銀…自己資本率がアップ
信用組合広島商銀(井上一成理事長。本店・広島市、第57期)は26日、本店で総代108人中107人(委任状49)。
3年後の60周年を見据えてより健全性を高めるため「出資金増強キャンペーン」を展開した結果、自己資本比率が0・59%上昇の7・12%とし、当面の目標だった7%台を1年で実現した。
預金は萩支店、東支店の統廃合や他行との競合で減少したが、法人預金の増加によって前期比9億7800万円増の1470億8400万円となった。貸出金は営業店サポートを柱に不動産業、太陽光事業の取り組みを積極展開したことで前期比59億7500万円増の1071億9900万円とした。預貸率は3・60%増の72・88%。純利益は前期比6000万円増の1億7100万円で配当率は1%。
井上理事長は「現場力の強化を柱に金融仲介機能の発揮と経営の健全性と透明性を向上させ安定した収益基盤確立を図りたい」と述べた。
◆愛知商銀…地域密着で着実成長
信用組合愛知商銀(大原清二理事長。本店・名古屋市、第64期)は28日、名古屋市内のホテルで総代106人中100人(委任状41)。
昨年に引き続き地域密着型金融に注力するとともに、地域情報を活用した事業再生、創業・新事業への積極支援や事業性評価融資を推進した。
新商品「すまいる定期預金」の好調な売れ行きで、預金は前期比58億6000万円増の917億9100万円となった。
貸出金は個人・法人の顧客数が増え、各企業の設備投資や不動産購入が活発化し30億5800万円増の666億1800万円。預貸率は1・39%下がり72・58%。純利益は5億9000万円増の7億700万円。
自己資本比率は、0・85%上がり8・40%。配当は昨年と同じく1%。
大原理事長は「①法令遵守②取引先拡大③人材育成④安定収益確保⑤不良債権管理⑥事務ミス撲滅⑦業務効率化の7つを柱に実効性高い取り組みを続ける」と語った。
◆近畿産業…5カ年計画で大成果
近畿産業信用組合(大本崇博理事長。本店・大阪市、第64期)は25日、大阪市内のホテルで総代196人中170人(委任状67)。2013年からスタートした「5カ年中期計画プロジェクト100」の最終年だった昨年度は、収益力と経営基盤を強化した。5年間で預金が1303億円、貸出金2429億円増加した。実質業務純益も68億円だった12年度に比べ1・59倍の108億円に伸ばした。組合員数も2万7000人余り増加し、19万1044人となった。
昨年度は預金はプレゼント付き定期「とらきちの贈りもの」などのリテール商品が順調に伸張し、前期比18億円増(0・13%増)の1兆3357億円とした。法人営業部を中心に中小企業支援を積極展開した結果、貸出金も497億円増の8602億円とし、預金・貸出金ともに信用組合日本一を維持した。
預貸率は3・64ポイント上がって64・40%に。純利益は約7億8000万円増の67億1622万円、自己資本比率は0・14%増の10・44%とし、10%の大台を達成した。
大本理事長は「中期計画最終年は目標以上の経営基盤の充実が図れた。全役職員が一丸となった結実。今年度は新本店新築移転オープンという今後を見据えた大切な年。全役職員が『勇気ある行動』の精神で一丸となって業務に精励していく」と表明した。
(2018.07.11 民団新聞)