掲載日 : [2018-09-12] 照会数 : 6059
地方参政権に初言及… 国連人種差別委、在日韓国人差別で勧告
[ 会見する李根茁委員長(右)と趙学植弁護士 ]
国連の人種差別撤廃委員会が8月30日、日本政府に対してヘイトスピーチなど在日韓国人への差別実態について勧告を出した。2014年以来、4年ぶりにジュネーブで開かれた対日審査(8月16、17日)に向けて民団中央本部人権擁護委員会は「在日コリアン差別に関する報告書」を提出するとともに人権擁護委員を現地に派遣する活動を行った。
6日、人権擁護委員会は韓国中央会館(東京・港区)で「日本審査に関する記者会見」を開き、李根茁委員長と趙学植弁護士が勧告内容と民団の見解を発表した。
今回の勧告では永住外国人の地方参政権が初めて取り上げられ、「地方選挙で投票権を行使できないこと、公権力の行使または公の意思形成の参画に携わる公務員に就任できないことを懸念する」と示した上で「選挙権行使の確保と公務員就任確保」を勧告した。
ヘイトスピーチ・ヘイトクライムについては、「ヘイトスピーチ対策法」の改正をはじめ、ヘイトの被害者救済を強化するため、人種差別禁止の包括的な法律制定を求めた。また、ヘイトを行う加害者に対する制裁とインターネットやメディアのヘイトに対する措置も勧告された。警察官や検察官などに対する「ヘイトスピーチ対策法」の研修実施と、政治家やメディア関係者によるヘイトを調査し、制裁を科すことも求めた。
李委員長は「地方参政権と公務就任権に言及したのは画期的だ。民団運動の追い風になる。しかし、インターネット上にヘイトスピーチがあふれているのにもかかわらず、日本政府が実態を直視していないことに対して、委員会勧告が人種差別禁止法がないことに懸念を示したことは大きい。『対策法』の改正や地方条例制定に継続努力をする」と述べた。
(2018.09.12 民団新聞)