掲載日 : [2022-06-01] 照会数 : 3899
三重県議会が反差別条例可決…紛争解決 県の責務に
[ 全会一致で可決した三重県議会(三重県議会の公式サイトより) ]
【三重】三重県議会は5月19日、ヘイトスピーチやハラスメント行為などあらゆる差別の解消をめざして、知事の勧告権などを定めた包括的な条例案を全会一致で可決した。県議会事務局によると差別事案で、紛争解決の仲裁役を果たすことを県の責務として定めた条例は全国でも初めてだという。一部の規定を除き、同日付で施行した。全面施行は2023年4月1日から。
条例によれば、差別の被害者側から相談を受けた県は関係機関などと必要に応じて連携し、調査や助言、関係者間の調整にあたる。それでも解決しなければ被害者側からの申し立てを経て、知事が助言や説示、あっせん、さらに勧告などができる仕組みを設けた。勧告は書面によることを想定しているが、法的な拘束力はなく、罰則や氏名の公表など制裁的措置を科(課)したりすることはない。
なお、手続きの公正、中立性を担保するため、知事が助言・説示・あっせんするにあたっては専門の学識経験を有する弁護士などで構成する第三者機関(三重県差別解消調整委員会)の意見を聞くことができるとした。
このほか、人権教育・啓発、被害の救済、実態調査、インターネットを通じた人権侵害行為の防止、県人権施策審議会の設置といった基本的施策も盛り込んだ。
コロナ禍に端を発したSNS(ネット交流サービス)によるウイルス感染者などへの中傷を受け、人権尊重をうたった現行の条例を全面的に改正。20年5月「差別解消を目指す条例検討調査特別委員会」を県議会に設置し、約2年にわたって議論を重ねてきた。