
在日韓人歴史資料館第140回土曜セミナー・四方田犬彦(比較文学・映画史研究家、詩人)講演会「在日韓国人はいかに映画で描かれてきたか」が4月18日、東京・南麻布の在日韓人歴史資料館で開催された。
四方田さんは安夕影監督『志願兵』(1941)について、「朝鮮人志願兵を募るために制作されたプロパガンダ映画だが、安夕影監督は3・1独立運動の挫折を経験した人物で、複雑な気持ちで映画を撮ったのではないか」と話した。
浦山桐郎監督『キューポラのある町』(1962)では、「町工場がひしめく埼玉県川口市を舞台に工員の娘ジュン(吉永小百合)の生活が描かれるが、ジュンの弟の親友が小学校の学芸会で民族差別的ヤジを受けるシーン、ジュンが父親の差別発言に怒るシーンなどが印象的だ。「浦山監督はこれらのシーンを通して、日本人に(差別の問題を)正視してもらいたいと考えていた」と説明した。山下耕作監督『京阪神 殺しの軍団』(1977)では、「1952年の大阪鶴橋を舞台に、柳川組の組長が自分を殺しに来たチンピラに重傷を負わせるが、彼を病院へ運び輸血をする。そのシーンで二人とも実は在日韓国人であることを暗示したシーンがあり、ヤクザ映画の形を借りて在日問題に触れた映画である」と述べた。
崔洋一監督『月はどっちに出ている』(1993)では、「(道徳的な在日韓国人でなく)フツーの在日青年を主人公とし、日本社会が韓国人のみならず、多民族化していく事実を予言的に描いて見せた作品」と評価した。
最後に「志願兵」がどう描かれたかについては、自著「志願兵の肖像——映画にみる皇民化運動期の朝鮮と戦後日本」(23年刊行、定価2640円、発行・発売 編集グループSURE、電話075・202・9522、https://www.groupsure.net/)を参照してほしいと語った。