掲載日 : [2019-08-28] 照会数 : 6718
高麗美術館企画展、「石のくに」に伝わる文化紹介
[ 石製双耳長生文八角手爐 ] [ 日月陽刻梅竹文硯 ]
高麗美術館の企画展「石の文化と朝鮮民画」が9月1日から12月10日まで、京都・北区の同館で開かれる。
韓半島は古くから「石のくに」と言われてきた。石造文化の原点は古代三国時代・百済にまでさかのぼり、木製の道具や金属器とそっくりに作られているのが特徴になる。
石と石をはめ込む「石象嵌技術」をはじめ、青土に黒土を埋める「高麗象嵌青磁」、木製品に貝を埋め込む「螺鈿細工」など、それぞれの特性を生かし、硬い石に埋め込む技法は高度な技となる。
出展品の「石製双耳長生文八角手爐」(朝鮮時代)は、鶴、亀、鹿など不老長生の象徴物である十長生の一部を表した朝鮮時代の石製の手焙(てあぶ)り。石製品に図柄を彫るものは珍しい。また、この黒石は不純物の少ない滑石で出来ており、磨けば磨くほど柔らかい黒が光りだす。
「日月陽刻梅竹文硯」(朝鮮時代18世紀)は、中国との国境に程近く、現在は慈江道に流れる渭原江(鴨緑江の支流)の底石を使ったもので、梅と竹、鶴や亀、太陽と雲など長生を願う吉兆文が鮮やかに彫刻されている。
このほか、蝋のような質感の「石製竹節硯滴」(朝鮮時代後期)、磨製石剣ほか約70点。
民画は、朝鮮中期の16世紀ころ描かれたと考えられる白と灰色の2匹の鼠が南瓜をかじる「鼠と瓜」(朝鮮時代中期)、鵲虎図、蓮池図など約15点を紹介する。
あわせて2017年にユネスコ「世界の記録」に登録された同館所蔵の「朝鮮通信使」資料を展示する。
10~17時開館。初日は午後12時から一般公開。毎週水曜休館。入館料一般500円、大学生400円、中学生以下は無料。
問い合わせは同館(075・491・1192)
(2019.08.28 民団新聞)