掲載日 : [2019-09-11] 照会数 : 8240
プロ野球夢舞台へ…在日3世の安権守選手、斗山ベアーズが指名
[ 外野を守る安権守選手 ] [ 安選手と両親 ]
斗山ベアーズがドラフト会議で指名
韓国のプロ野球チーム「斗山ベアーズ」がドラフト会議で在日韓国人3世の安権守選手(26、社会人野球カナフレックス所属)を指名した。日本にいた安選手はソウル市でドラフト会議の行方を見守っていた両親から吉報を電話で聞いた。安選手は信じられないという表情できょとんとしていたという。10月以降からチームに合流する。
ドラフト会議は8月26日、ソウル市内のホテルで行われた。1次では各球団ともフランチャイズ地域の高校選手を優先。ソウル市を縁故地とする斗山ベアーズの指名は城南高校に在籍する投手だった。安選手は2次に入り、最後の10ラウンド目で名前が読み上げられた。
チームプレー優先を評価
父親の安龍治さん(54、東京)は「前日のトライアウトのときけがをしていたので期待はしていなかった」と語った。
李福根同スカウトチーム長は安選手を指名した理由を次のように語った。
「日本の野球選手たちが追及する繊細さを併せ持っている。チームはホームランを打つ打者も大事だが、チームプレーが上手な選手も欠かせないのだ。安選手ならば代打も代走も代守備もこなせる。野球に対する熱意もすごいし、在外同胞3世でいながら未だに大韓民国の旅券を維持していることにも感動した。在籍選手たちの手本になれる」
安選手は子どものころから水泳に打ち込み、小学校5年生の時には韓国全国少年体育大会水泳自由形で3位入賞。小学校6年生の時、野球部に体験入部したところ監督にその才能を見出され、中学時代は浦和リトルシニアで活躍。2008年にはリトルシニア全国選抜野球大会でベスト8入りした。早稲田実業高校時代には甲子園出場を経験。早稲田大学を経て独立リーグの群馬ダイヤモンドペガサス、埼玉武蔵ヒートベアーズを渡り歩いてきた。
「努力すれば夢かなう」…安選手が次代へメッセージ
「韓国には幼いころから両親と何度も訪れていたので、親しみを抱いていました。そんなこともあり、いつの日にか韓国のプロ野球でプレーしたいと思うようになりました。在日韓国人がスポーツ選手や音楽家になるには日本人の2倍も3倍も努力しないといけません。それでも信じ続け、努力すれば夢がかなうのです。これまで大学野球、クラブチーム、独立チーム、社会人と人よりも多くの日本野球を体験してきました。次は韓国野球という大舞台で頑張ります」
(2019.09.11 民団新聞)