掲載日 : [2019-07-24] 照会数 : 7099
韓国ドラマから「日本」再発見…高麗博物館2019企画展
[ 来館者に資料を説明するスタッフ(左) ]
渡来、交流そしてあつれき
韓国ドラマ・映画のなかで「日本」がどのように描かれているかを「発見」する企画展が東京・新宿のミニ・ミュージアム、高麗博物館(新井勝紘館長)で開かれている。古代からの渡来・交流、そして近代に入ってのあつれきまでを、同館のボランティアスタッフで構成する制作チームが選りすぐりの27作品を通して浮き彫りにした。
作品はそれぞれ1枚のパネルで簡潔にまとめられている。構成はあらすじ、韓日関係にまつわる特徴的な複数のシーン、解説の順。「大王の夢」(KBSドラマ、2012年9月~2013年6月)は7世紀に三韓統一を果たした新羅の武将金奭信と外交手腕にたけた金春秋2人の英雄伝。担当者のコメントとして「桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫」と発言した平成天皇の会見(01年12月18日)を引用し、「これぞ、まさしく渡来・交流の証し!」と紹介した。
伝説の心医「ホジュン(許浚)」(MBCドラマ、99年)は日本でも多くのファンを虜にした。ホジュンは豊臣秀吉の朝鮮侵略にほんろうされたことをきっかけに「東医宝鑑」を編纂した。「名家の娘 ソヒ」(SBSドラマ、04~05年)は日本の植民地統治下にあった韓半島が舞台。時代にほんろうされる人々の苦しみとともに、当時の身分制度が多く描かれている。担当者は「この時代のことを日本人としてもっと知り、記憶しておかなくてはならない」というメッセージを託した。
制作したのは荻原みどりさん(高麗博物館専務理事)を責任者に8人のチーム。それぞれ一押しする作品を持ち寄り、侵略・抑圧した側の様相がしっかり描かれている作品を選んだ。
荻原さんは街頭でのヘイトスピーチデモを見て反省。「在日の歴史をきちんと勉強していないから、こういうことをしている」との思いから5年前、高麗博物館の門をたたいた。「韓日間の歴史を知らない若い世代でもドラマで興味と関心を持ち、本格的に歴史を勉強するとっかかりになればいい」と話していた。
12月1日まで(月・火曜日休館、開館時間は12~17時)。入館料一般400円、中・高校生200円。関連して8月3日に「韓国ドラマの魅力と社会性」(朝治武・大阪人権博物館館長)、10月5日に「『文化』から読み解く韓国/日韓ー韓流の歴史的意義と『嫌韓』」(権容奭・一橋大学法学研究科准教授)と題した講演会が予定されている。いずれも14~16時。要予約、参加費は入館料を含め1000円。
(2019.07.24 民団新聞)