掲載日 : [2017-12-20] 照会数 : 5220
読者の人気は若手作家の最新作…K‐BOOKことしの50選
[ 第6号の刊行について語る金承福事務局長 ]
韓国文学へ関心高まる
幅広い分野の絵本も魅力
K‐BOOK振興会主催の第6回「日本語で読みたい韓国語の本‐おすすめ50選」の説明会が7日、ユニ・エージェンシー(東京・千代田区)の会議室で行われた。
出版関係者、翻訳家46人の参加者は、文芸、人文・実用書、絵本、漫画の計50冊に高い関心を示した。同会の金承福事務局長は「今回おすすめ本第6号を刊行できたことを嬉しくおもう。日本の出版関係者や韓国政府からの支援のおかげだ」と話した。
これまで出版社や翻訳関係者の推薦本を多く紹介してきたが、今回は読者からの推薦本を主に取り上げた。文芸作品『走れ、オヤジ殿』(キム・エラン著)の翻訳を手掛けた、古川綾子さんは「韓国文学への関心が高まることで、読者のみなさんのパワーを感じることができた」と嬉しそうに語った。
同会は各分野ごとのおすすめ本を紹介。傷つき凍りついた心を抱えたまま立ち止まる人々の内面をテーマにした『外は夏』(キム・エラン著)、65篇の物語から構成されている『「白」の物語』(ハン・ガン著)、それぞれ異なる理由で、世間から疎外される若者たちの周囲との関わりや変化を通じて現代社会の問題をあぶりだす『アーモンド』(ソン・ウォンピョン著)などの小説は、今年発刊されたもので、若い作家の最新作が中心となった。
また、韓国の大手書店「教保文庫」や日本で韓国書籍が読める「チェッコリ」で評判になった『李仲燮 放浪の牛の夢』(ホ・ナヨン著)は、苦難の時代を生きた韓国を代表する画家、李仲燮の芸術と家族への愛に生きた生涯を描いた作品となっている。
そして韓国で勢いのあるジャンルとして確立された絵本は、近年海外でも賞を取る作家が増えている。子どもから大人まで楽しめる幅広いジャンルの作品が魅力だ。『それはね』(アンニョンダル著)と『あめだま』(ペク・ヒナ著)は子どもに人気。また、『未熟な若者たちの味』(エンム著)は、ウェブ漫画が主流な韓国で書籍化されたことは珍しく、若者の悩みを食べ物に絡めて描いた作品だ。
特別講演では、翻訳家で児童文学研究科の金原瑞人さんが「僕の好きな韓国小説、ぼくの気になる韓国文学」、昌文社の松井智さんは全6冊の「韓国文学のオクリモノ」シリーズ発刊について、ポプラ社の小桜浩子さんは『いろのかけらのしま』(イ・ミョンエ作・絵)発刊までのきっかけや苦労話などを語った。
(2017.12.20 民団新聞)