掲載日 : [2019-01-30] 照会数 : 7247
韓国の人形劇団アートステージサン×日本の影絵劇団かかし座 ユニークなコラボ公演
[ アートステージサンの「ダルレの話」(左)とかかし座の「ふしぎな時間 もしもの国で」 ] [ かかし座の後藤圭代表(右)と飯田周一さん ]
「ごめんね、ありがとう!ーるる島の秘密ー」3月 横浜、東京で
「ごめんね、ありがとう!‐るる島の秘密‐」は、2012年にブラジルの人形劇フェスティバル「SESI BONECOS(セジ ボネコス)」で出会った両劇団がその後、ワークショップなどの交流を重ねて合同企画した。同作は台詞をほとんど使用しないので、国籍や世代を問わずに楽しめる。
同フェスティバルでサンが上演した代表作「ダルレの話」は、韓国戦争によって引き裂かれた家族の姿が描かれている。
サンの人形劇を初めて目にした後藤代表は「大変、説得力を感じたし、すごくバランスのいい仕上がりだなというのが印象的だった」と話す。
01年から活動を始めたサンは、芝居や舞踊、映像などを取り入れた作品を発表してきた。「ダルレ…」は海外でも絶賛され、日本では09年以降、各地で上演された。
かかし座は日本初の現代影絵の専門劇団として1952年創立。後藤代表は30年前からスクリーンの後ろで切り絵や手影絵を動かすという従来の影絵劇から、役者が役者として動きまわる影絵劇へと転換させてきた。
それは「影絵だけ見ていたら影絵が芝居だということにならなくなる」からだ。現在の劇団員は、手影絵をはじめ、シャドウパペット(平面の人形)を操演すること、話すこと、歌うことなど厳しい訓練を受けて条件を満たした人たちだ。また、スクリーンの周りや下部を隠さないで演技を見せるのも特徴の一つである。これまで22カ国33都市以上の海外公演をこなしてきた。独自の影絵劇のパフォーマンスは他の追随を許さないものがある。
両劇団は13年と翌年に日本と韓国でワークショップを行った。このワークショップに参加した、かかし座の飯田周一さん(企画営業部責任者、公演班)は「お互いにいい刺激を与えあった」と話す。14年のワークショップでは、韓日混成チームを作って発表会も行った。
独自の技法と世界観で観客を魅了し続けている両劇団には、いくつか類似点がある。「ダルレ…」は無言劇だが、かかし座が上演する海外の作品は何本かのショートストーリーのオムニバスになっており、作品の中では全く話さない。お互いに「同質の感受性というか、非常に似た感性は感じたかもしれない」。さらに「サンの人たちも私たちもとにかくスキルを高めるということに大変、興味がある団体だったということは大きかった」。
今回、共演することの意義については「両方ともインターナショナルで活躍したいという志向性を強く持っている」と話した上で、「その中で自分たちがどのようにしたらよりたくさんの国で喜んでもらえるかということに関して、お互いに一つのものを作ることによって、お互いの可能性が開けてくる。そういう機会になるんじゃないかな」と期待している。
上演日程は次の通り
▽3月21日。10時30分、14時/横浜市泉区民センターテアトルフォンテホール▽24日。16時、19時/横浜にぎわい座のげシャーレ▽26日。16時/パルテノン多摩小ホール▽30日。16時、19時。31日。10時30分/文京シビックホール小ホール。
料金一般大人3000円、小学生以下2000円。当日は500円増し。
問い合わせは劇団かかし座(045・592・8111)、特設サイト(https://rurujima.com)。
(2019.01.30 民団新聞)