掲載日 : [2020-05-27] 照会数 : 7038
大ヒット作 「はちどり」来月公開
[ 学校になじめないウニ ]
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思春期、繊細に描く
90年代のソウル舞台に
思春期特有の揺れ動く思いや家族、友人とのかかわりを繊細に描いた、キム・ボラ監督の長編デビュー作「はちどり」(配給=アニモプロデュース)が6月20日から、東京・渋谷区のユーロスペースほか全国で順次公開される。
「はちどり」は、2018年釜山国際映画祭での上映を皮切りに、ベルリン国際映画祭をはじめ国内外の映画祭で多数受賞した。韓国では19年に公開され、単館公開規模ながら公開1カ月で観客動員数15万人に迫る異例の大ヒットとなった。
1994年のソウル。14歳のウニ(パク・ジフ)は、両親、姉、兄と集合住宅に暮らしていた。学校に馴染めず、別の学校に通う親友と遊んだりして過ごしていた。
両親は小さな店を必死に切り盛りし子どもたちの心の動きと向き合う余裕がない。ウニは、自分に無関心な大人に囲まれ、孤独な思いを抱えていた。そんななか、初めて自分を気にかけてくれる大人に出会う。
映画は、同年10月に起こった聖水大橋の崩落事故をクライマックスに、社会全体を覆っていた空気や劇的に変化する韓国社会の前夜を、ウニの心の動きを軸に丁寧に映し出している。
世界で最も小さい鳥のひとつでありながら、その羽を1秒に80回も羽ばたかせ、蜜を求めて長く飛び続けるというはちどりは、希望、愛、生命力の象徴とされる。映画のなかで、ウニが成長し、この世界に羽ばたいていこうとする姿は、はちどりと重なる。
「はちどり」は、「パラサイト 半地下の家族」に次ぐ、「2019年公開・韓国映画ベスト10」第2位を獲得した。
(2020.05.27 民団新聞)