掲載日 : [2019-02-14] 照会数 : 6174
文学座公演「寒花」来月上演
[ 左から日本人通訳役の佐川和正、安重根役の瀬戸口郁、母親役の新橋耐子 ]
安重根義士めぐる人間模様
中国、旅順の監獄に収監された抗日独立運動家、安重根義士と日本人関係者の人間模様を描いた文学座公演「寒花」(作・鐘下辰男、演出・西川信廣)が3月4日から12日まで、東京・新宿の紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYAで上演される。文学座に鐘下さんが書き下ろした作品。1997年に初演され話題を呼んだ。
物語の舞台は1910年、旧満州・旅順の監獄。ここにハルビン駅前で韓国統監であった伊藤博文を暗殺した安義士が収監されてくる。
日露戦争の戦勝国としての対面を保つため、「無事」に安の死刑を執行するため派遣されるエリート外務省高官と、監獄の長である典獄、看守長らの確執の中で、統監府から差し向けられた朝鮮語通訳と死刑因・安義士との静かな対話が、ぶつかり合う人間たちの心に揺さぶりをかける。
日本人の中心的人物は朝鮮語通訳の楠木だ。楠木との対話を通して、安義士の信念が、キリスト教の信仰からくることが明らかになる。
もう一つの見どころは、中央エリートによる「力の支配」と非エリートの対立だ。世界に広がりつつある拝外主義や強権政治といった現代につながる問題としてとらえることができる。
文学座公演「寒花」
チケット一般6000円、夜割4000円(3月4・8日の夜公演限定)、夫婦割1万円ほか。
詳細は文学座HP(http://www.bungakuza.com/)。
(2019.02.13 民団新聞)