掲載日 : [2017-05-10] 照会数 : 5063
有田焼400年「望郷と同化のはざまで」…高麗博物館で開催
東京・新宿区の高麗博物館(新井勝紘館長)の企画展示「有田焼400年望郷と同化のはざまで‐朝鮮被虜人の生活と文化」が、8月27日まで開催されている。
同展は、2015年8月から11月にかけて開かれた企画展示「400年前の朝鮮侵略‐文禄・慶長の役のつめ痕と文化的影響」に続く第2弾。 豊臣秀吉による壬辰・丁酉倭乱(文禄・慶長の役)の際、朝鮮被虜人が韓半島からどのように日本に連れて来られ、日本社会に定着して生きたかについて、パネルなどの資料を通じて知ることができる。
展示は「壬辰・丁酉倭乱」「『被虜人』の軌跡」「被虜人の生と苦難」「有田焼の創業と発展」「望郷と同化のはざまで」の5つで構成されている。
佐賀の黒髪山を中心に多くの陶工集落が形成された。「『被虜人』軌跡‐被虜人となり難民に」では、黒髪山遠景の写真が紹介されている。同山の谷間に有田がある。
当時の暮らしぶりを知るうえで参考になるのが、2014年に考古学者の久村貞男さんから依頼されて、画家の大石博さんが描いた想像図「二川内皿の陶工集落」。「皿」は窯を意味する。陶磁器を焼くために水は欠かせない。川や水田、焼き物を運ぶための石橋があり、山の麓には登り窯もある。畑や水田で働く女性の姿も描かれている。
有田焼陶祖の李参平と共働して有田焼の始祖となった朝鮮人女性で、有田の報恩寺脇共同墓地にある「百婆仙」の墓碑をはじめ、朱子学を伝えた姜など、日本各地に存在する被虜人の痕跡にスポットを当てている。
資料はパネル32点のほか、関連書籍など約30点。12〜17時開館。月・火曜休館。入館料大人400円、中高生200円。問い合わせは同館(03・5272・3510)。
(2017.5.10 民団新聞)