掲載日 : [2019-03-21] 照会数 : 5780
趙善玉の「飲食知味方の世界」チョンボクチム
キジ肉を詰めて
魚介類の2品目は「チョンボクチム」です。現代でも同じ名前の料理があり、韓国人に「チョンボクチム」と聞くと、多くの人がお祝いの料理などにぴったりの生アワビを醤油煮にしたものを思い浮かべるはずです。私もそうでした。
『飲食知味方』には「乾燥させたアワビを水で戻し、味付けをしたキジ肉を詰めて糸で巻き蒸す」と書かれていますが、現代はアワビだけの調理法になるので、かなり違います。
さて、本書には魚介類などの食材も多種使われていますが、著者が住んでいたのは韓国慶尚北道英陽郡にあるトドゥルマウル(村)」です。トドゥルマウルは「丘の上にある村」という意味で、名前の通り山間にあります。当時、食材を保存することは本当に重要でした。
今回のアワビも次のように記載されています。「下処理したあとに乾燥させる」とあり、「急に使う場合は水でふやかして味をつける」と細やかな説明が印象的です。本書を読むと、嫁や娘を思う愛情あふれる母親の気持ちが伝わってきて、私も母に会いたくなります。
◇材料(4人分)
乾燥あわび4個、キジ肉20g(鶏肉で代用可)
<キジ肉下味>
醤油、ゴマ油各大さじ1/2、胡椒、山椒各少々、糸適量
◇つくり方
1.乾燥あわびを水で戻し、身の中央から左右に開くように切れ目を入れる。
2.キジ肉をみじん切りにしてから下味をつけ①の切れ目に詰めて、あわびの外側を糸で巻きつける。
3.沸騰した蒸し器で②を5分蒸して火をとめてから5分蒸らす。
4.蒸しあがったら糸をはずして食べやすく切り、皿に盛り付ける。