掲載日 : [2021-07-21] 照会数 : 7098
韓信協4組合、順調に預金伸ばす…1兆1800億円に
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コロナ禍で純利益はバラツキ…20年度決算
韓信協(在日韓国人信用組合協会=呉龍夫会長)の会員4組合と近畿産業信用組合の総代会が6月中に開催された。韓信協がまとめた2020年度業績は4組合の総預金高が前年比1467億2200万円増の1兆1836億5900万円で昨年に続き1兆円を突破した。
貸出金は871億1500万円増の8832億300万円。近畿産業信用組合の業績とあわせると総預金は2兆5570億700万円(前年比1680億2900万円増)、貸出金は1兆8334億3200万円(949億1600万円増)。
韓信協4組合の預貸率の平均は2・15%減の74・62%。純利益合計は6億5700万円減の46億5100万円だった。コロナ禍で貸出金は増加したが、実質無利子融資のため純利益増加には反映されなかった。
特化競争力を強化…横浜幸銀
横浜幸銀信用組合(呉龍夫理事長。本店・横浜市、第5期)は6月28日、横浜市内のホテルで開催。
自然災害やコロナ禍などの不確実性の高い環境において、持続可能性を高めていくために、経営資源を集中させ、広範というスケールメリットを生かした、経営の効率化と、地域のニーズに見合ったサービスに特化競争力強化を図った。
「ファースト」「ベストパートナー」「子育て支援」「相続」「つばさ」など、主力定期預金商品の好評によって、預金は前年比708億3800万円増の5740億7300万円となった。貸出金も「不動産購入」「カーライフ」「リフォーム」などの定番商品にコロナ対策融資で450億2800万円増の4177億7600万円とした。預貸率は1・30%減の72・77%。自己資本比率は微増の8・64%とし、国内基準(4%)を大きく上回った。純収益はコロナ禍による影響を鑑み、貸倒引当金を積み増したことで、前年比11億96000万円減の24億2300万円となった。配当率は前期と同じ1%とした。
呉理事長は「地域経済の担い手である取引先の資金需要にスピーディーに対応するとともに、各種サービス向上、地域経済活性化へ経営規模の拡大と安定した経営基盤を構築していく。また、スケールメリットを生かし、経営管理態勢の強化と収益基盤の構築を図る施策を策定し、地域密着型金融を推進する」と語った。
最高純利益を更新…あすか
あすか信用組合(金哲也理事長。本店・東京都、第55期)は25日、東京都内のホテルで開催。
日本経済がコロナ禍の影響で厳しい状況となったが、公的機関の支援、民間の実質無利子・無担保融資で事業者の資金繰りは改善した。しかし、度重なる緊急事態宣言による、事業の停滞や営業自粛の影響が大きく、不透明な状況が続いた。
対策として、預金については8月にメールオーダー専用店舗(あおば支店)を開設して「メールdeあおば」や「メールdeあすか」の取扱商品が好調に推移したほか、既存の特別金利定期預金などが引き続き人気を呼び、前年比655億4200万円増の3426億8900万円とした。
貸出金は取引先の事業性を評価した融資の取組により、374億3100万円増の2731億500万円となった。預貸率は5・35%減の79・69%、自己資本比率は0・49%減の8・04%とした。
純利益は2億300万円増の15億7300万円となった。「あすか」発足以来、最高益を更新した。出資配当は前期と同じ2%。
金理事長は「コロナ禍が続き極めて厳しい事業環境にあるが取引先の課題解決を図りながら、=1関係強化し経営基盤強化=2持続的成長への経営態勢強化=3働き方改革による生産性向上ーを基本戦略に捉え地域社会への貢献に努める」と述べた。
中期計画を継続…広島商銀
信用組合広島商銀(井上一成理事長。本店・広島市、第60期)は6月25日、広島市内のホテルで開催。
新型コロナ感染拡大の彬轡を受けている取引先への実質無利子・無担保融資などの円滑な実行や給付金申請手続きなどの各種支援を最優先課題として取組むとともに、一昨年からの「第6次経営計画」を推進した。その結果、預金・貸出ともに目標を達成した。
預金は個人組合員向けの「プレミアム・メンバー定期」の好調によって前年比72億2900万円増の1586億2100万円となった。
貸出金はコロナ禍の影響で新規営業活動が制限されたが、取引先への本業支援を主とした活動によって、3億7800円増の1154億200万円とした。
自己資金比率は0・27%アップの7・93%、預貸率は3・23%減の72・75%。純利益は個別貸倒引当金を5億7600万円積み増したこともあり、5400万円増の2億1300万円で配当率は1%のまま。
井上理事長は「コロナ禍による取引先事業者の業績悪化に伴う与信費用の増加懸念など、収益環境は厳しさを増している。ウィズコロナを見据えた生活様式への移行という環境のもと、中期経営計画を着実に実行し、持続可能なビジネスモデルの構築をめざし、将来にわたって経営の健全性確保に努めていく」と述べた。
経営支援室が効果…愛知商銀
信用組合愛知商銀(大原清二理事長。本店・名古屋市、第68期)は6月24日、民団愛知本部会館で開催。
基本理念である「地域密着型金融」に注力するとともに、新たに「経営支援室」を本部内に設置し、コロナ禍にあえぐ地域中小事業者に対し、伴走型の事業支援を積極的に展開した。
主力商品の「シルバー定期」と「すまいる定期」が堅調な売れ行きで預金は前年比31億1300万円増の1082億7600万円となった。
貸出金は新型コロナウイルス対策融資が急増したことなどで、42億7800万円増の769億2000万円となった。預貸率は1・96%増の71・04%。自己資本比率は0・24%増の8・08%。
業務効率化と経費節減策を推進したことで純利益は2億8200万円増の4億4200万円で配当は昨年と同じ1%。
大原理事長は「今年度も引き続き①法令遵守②取引先拡大③人材育成④安定収益確保⑤不良債権管理⑥事務ミス撲滅⑦業務効率化を経営の柱に実効性ある取り組みを続ける」と語った。
組合員20万人突破…近畿産業
近畿産業信用組合(大本崇博理事長。本店・大阪市、第68期)は6月21日、本店ビル「きんさんホール」で開催。
長引くコロナ禍で影響を受けた顧客に対し必要な資金の支援をはじめ、各種金融サービス提供とコンサルティング機能の発揮に伴い、組合員に親身に寄り添うことに努めた。地域社会に根ざした顧客本位の営業姿勢を貫き、ニーズに応える各種商品を取りそろえた。
組合員数は2年前の新本店効果が続き、前年比2198人増の20万人の大台を突破した。
コロナ禍対策として新発売した非対面・非接触型の「きんさんWeb預金」預金で6316口座、147億円を記録したこともあり、預金高は前年比213億700万円増の1兆3734億1100万円となった。貸出金は78億100万円増の9502億2700万円とした。
実質業務純益は5年連続で100億円を上回った。純利益については前年比22億4996万円減の67億3050万円となったが、これは貸倒引当金の積み増しと前年度に計上した特別利益(旧本店など売却)との差額によるものだ。
預貸率は前年と同水準の69・19%に。自己資本比率は前期比0・60%向上し、過去最高の11・61%を記録した。
大本理事長は「昨年度はコロナ禍の影響で過去最高益を出す企業がある半面、大幅減益或いは赤字決算を余儀なくされた企業と二極化した。そのような中、今年4月より第2次中期態勢計画を始動した。100年先を見据え常に進化する組織態勢で金融の仲介機能に加え、各種コンサル機能を発揮させる」と表明した。
(2021.07.21 民団新聞)